皮膚が白くなる!?尋常性白斑の原因と治療法

尋常性白斑(vitiligo vulgaris)は白斑症の一種で、皮膚の色が部分的に白く抜けてしまう皮膚疾患です。

肌色の皮膚がところどころ白く抜けてしまうため、周囲から「他人にも移るのではないか」などと誤解されてしまう事もありますが、他者に感染するような疾患ではありません。

皮膚の色が不規則に白く抜けてしまうというこの状態はなぜ生じるのでしょうか。また治療法はあるのでしょうか。

ここでは尋常性白斑という疾患について、その原因や治療法についてお話させていただきます。

1.尋常性白斑とは

尋常性白斑(vitiligo vulgaris)は、皮膚の色が部分的に白く抜けてしまう「白斑症」の1つです。

以前は「シロナマズ」と呼ばれていた事もありますが、偏見を助長する可能性があるため、現在ではこの呼び方はあまり用いられません。

生まれた時から発症するような先天性の疾患ではなく、思春期・20歳前後など若い年代に出現しやすい後天性の疾患です。この時期は外見を気にするような年代ですので、皮膚の目立つ部位に尋常性白斑が出来てしまうと、苦痛に感じる方も少なくありません。

尋常性白斑の発症を機に、周囲からからかわれてしまったり、学校を休みがちになってしまうような事もあります。

尋常性白斑がなぜ生じてしまうのかというと、これは「メラニン」という紫外線を吸収するはたらきを持つ色素が作られなくなってしまうからです。

メラニンは黒色の色素で、これが表皮内に散在している事によって皮膚は色がついて見えます。ちなみに白人はメラニンの量が少なく、黒人はメラニンの量が多く、黄色人は中くらいであり、このようにメラニンの量によって肌の色が異なってくるのです。

何らかの原因によってメラニンを作る細胞である「メラノサイト」が破壊されてしまったり機能が低下してしまう事で尋常性白斑は生じます。なぜこのような事が生じるのかは明確には特定できていませんが、「遺伝」「ストレス」「免疫異常(自己免疫疾患)」などいくつかの要素があると考えられています。

症状としては皮膚の一部の色が白く抜けるという外見上の問題はあるものの、皮膚に痛みやかゆみなどが生じるという事はありません。

しかし本来であれば紫外線を吸収するはたらきを持つメラニンが白斑の部位では少なくなっていますので、紫外線(日光)を浴びるとその部位の皮膚がダメージを受けやすくなってしまいます。

そのため、特に白斑部位は日光をなるべく当てないよう日常生活で注意をする必要があります。

2.尋常性白斑が出来る原因は?

尋常性白斑はどのような原因で生じるのでしょうか。

白斑というのは皮膚の色が白く抜けてしまう状態です。なぜこのような事が生じるのかというとその部位の表皮に存在するメラニンが減少するからです。

メラニンはメラノサイト(色素細胞)という細胞から作られる黒色の色素です。メラニンは紫外線を吸収するはたらきを持ちます。

紫外線は日光に含まれる波長の1つで、短い波長であるため細胞にダメージを与えてしまいます。紫外線を受け続けると細胞は機能を障害され、老化が進んだり癌化してしまう恐れがあります。

それを防いでくれるのがメラニンです。メラニンは表皮で紫外線を吸収する事で、紫外線が身体の奥にまで届かないようにしてくれます。

メラニンは黒色の色素であるため、このメラニンの量によって私たちの皮膚の色というのは変わってきます。

例えば、黒色人種の方の肌が黒いのはメラニンが多いからで、白色人種の方の肌が白いのはメラニンが少ないからです。そして私たち黄色人種は、黒色人種の方と白色人種の方のちょうど間くらいのメラニンが皮膚に存在しています。

メラニンは紫外線を多く浴びると、身体を守るために多く作られます。日光が強い地域に住んでいる人の皮膚が黒っぽくなるのは、表皮でメラニンがたくさん産生されているからなのです。

このメラニンを産生する「メラノサイト」が、皮膚の局所で少なくなってしまうのが尋常性白斑です。

尋常性白斑では、白斑が生じている部位のメラニンが少なくなっています。黒色の色素が少なくなっている部位の皮膚が白く抜けたように見えるのです。

ではなぜ尋常性白斑では、メラニンの産生が局所的に低下してしまうのでしょうか。その原因は明確には解明されていませんが、いくつかの原因が考えられています。

原因としては、

  • 遺伝
  • ストレス
  • 免疫異常

などが挙げられています。

尋常性白斑はある程度遺伝性がある事が報告されています。その根拠として、ある人に尋常性白斑が出現した場合、家系内発症は20%ほどあると言われています。

通常、尋常性白斑の有病率は1%ほどですので、家族内発症はこれと比べると明らかに高く、遺伝性がある事が分かります。

またストレスも一因になるのではないかと考えられています。身体的ストレス(皮膚に慢性的に刺激が加わる)の他、精神的ストレスも原因になりえます。

精神的ストレスによって自律神経系の異常が生じ、それによってメラノサイトがメラニンを産生する力が弱まってしまうのではないかと考えられています。

免疫異常というのは、免疫系(異物から身体を守るための防御システム)に異常をきたしてしまうという事です。本来、私たちの身体には免疫という能力が備わっていて、身体に害をきたす異物(細菌など)が侵入してきたら、それを速やかに感知し、攻撃・排除するように出来ています。

この免疫系が暴走してしまい、身体にとって無害なものや有益なものを攻撃してしまう事があります。このような病態は「自己免疫性疾患(免疫が自分の身体を攻撃してしまう疾患)」と呼ばれます。

何らかの原因で免疫系が暴走してしまい、免疫系がメラノサイトを攻撃し、それによって局所のメラノサイトが死んでしまう事があります。

この自己免疫性の尋常性白斑が生じる場合、同じく自己免疫性疾患である別の疾患(橋本病など)を合併する事が多くあります。

【尋常性白斑が生じる原因】

・メラニンを作るメラノサイトが減少するために生じる
・原因としては遺伝やストレス、免疫異常などが指摘されている

3.尋常性白斑に症状はあるのか

尋常性白斑では何か困るような症状は認められるのでしょうか。

尋常性白斑は、白斑の生じ方によって、

  • 汎発型
  • 分節型
  • 肢端顔面型

に分類されます。

汎発型はもっとも多いタイプです。白斑は全身の至るところに生じえますが、特に多いのが脂漏部位(皮脂が多く分泌される部位)や四肢、腰腹部、顔面、頸部などです。

一方で分節型は神経支配領域に沿って身体の片側にのみ生じます。分節型も顔面に生じやすい傾向があります。

また肢端顔面型は白斑が口の周りと手足の指にのみ生じます。

白斑は本来表皮に存在するはずのメラニンが少なくなっている状態ですので、それ自体で何か症状を引き起こす事はありません。

白斑の部位が痛んだり、かゆくなったり、ばい菌に感染しやすくなったりとか、そのような症状が生じる事はありません。

ただし、本来紫外線から身体を守る役割を持っている「メラニン」が局所的に少なくなっているわけですので、白斑部位が紫外線を受け続けるとその部位には紫外線による障害が生じやすくなります。

そのため、白斑部位にはなるべく強い日差しを当てないよう、注意して生活をする必要があります。

ちなみに尋常性白斑を「他の人にうつる病気なのではないか」と心配される方がいますが、それは全くの偏見です。うつったりするようなものではありませんし、他者に何も害をきたすような事はありません。

また尋常性白斑は頭皮に生じる事がありますが、その際はその部位の髪の毛は白髪となります。

【尋常性白斑の症状】

・皮膚の色が一部白く抜けるが、そこに何らかの自覚的な症状が生じる事はない
・白斑部は紫外線を防御するメラニンが少ないため、紫外線を浴び続けないよう注意

4.尋常性白斑は治療できるのか

尋常性白斑は治療する必要があるのでしょうか。また治療する事は出来るのでしょうか。

尋常性白斑はその原因によって治療方法は異なります。有効とされている治療法はいくつかありますが、残念ながら完全には治りきらない事も少なくありません。

しかし白斑自体は何も悪さをするものではありませんので、もし目立つ部位とかに生じているわけでなければ、そのまま様子をみていても問題はありません。

有効性が確認されている治療法としては、

  • 外用ステロイド剤の塗布
  • PUVA療法・narrow band UVBの照射

などがあります。

ステロイドは免疫系のはたらきを抑える作用がありますので、免疫異常によって白斑が生じている場合には、特に有効性が期待できます。また病状によってはステロイドを外用(塗る)のではなく、服用(飲む)する事もあります。

PUVA療法とnarrow band UVBはどちらも白斑部に紫外線を照射する治療法です。紫外線を浴びると身体を紫外線から守るためにメラニンの産生が亢進します。その原理を利用して、適度な紫外線を照射する事で白斑部にメラニンを増やそうという治療法です。

PUVA療法は、ソラレン(psoralen)というお薬を服用(あるいは外用)したあと、UVA(紫外線の1つ)を照射する方法です。ソラレンには紫外線の吸収を高める作用があるため、これを服用したあとにUVAを浴びる事で効率的にメラニンの産生を促す事が出来ます。しかし過度な紫外線の照射は身体に害となりますので、照射時間や回数は主治医とよく相談する必要があります。

narrow band UVBとは紫外線のうち、有害な波長を除去し、治療効果のある波長域(311~313nm)だけを選択的に照射する治療のことです。

実は、一言で「紫外線」といっても紫外線には、

  • UVC(Ultra-Violet-C):波長200~280nm
  • UVB(Ultra-Violet-B):波長280~315nm
  • UVA(Ultra-Violet-A):波長315~380nm

の3種類があります。ちなみにUVA、UVB、UVCは「近紫外線」と呼ばれており、更に波長が短いものは「遠紫外線」と呼ばれています。遠紫外線は身体に強い障害をもたらしますが、波長が極めて短いため地上には到達しませんので実際に問題となる事はありません。

波長が短いほど身体への刺激が大きいと言われています。

この中でUVBは日光皮膚炎(いわゆる日焼け)の原因となる波長ではあるのですが、UVBの中でも特定の波長だけを照射する事で、適度に皮膚細胞を刺激してメラノサイトからメラニンの産生を促す事が期待できます。

narrow band UVBは白斑部位のみに照射します。それ以外の部位はUVBによる皮膚障害が出ないよう、サンスクリーン剤(日焼け止め)を塗ります。

また厳密な治療とは異なりますが、目立つ部位に生じた白斑を目立たせなくする工夫として、

  • 入れ墨
  • メイク
  • 過度な日焼けの予防

などが行われる事があります。

これは医療的な意味より、「見た目が気になるから目立たないようにしたい」という理由で行われるものです。

また日焼けをしすぎてしまうと、日焼けした皮膚(メラニンが多くなった皮膚)と白斑部位(メラニンが少ない皮膚)の差がより顕著に目立ってしまいますので、これが困るような場合は過度な日焼けはしない方が良いでしょう。

【尋常性白斑の治療法】
・原因によって治療法が異なる
・免疫異常であればステロイド外用剤が有効な事も
・PUVA療法やnarrow band UVBなどの紫外線照射療法が有効
・メイクや日焼けの予防などの工夫で白斑部を目立たなくする事もある

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