老人性血管腫の原因と治療法

老人性血管腫(senile angioma)は老人(高齢者)に多い皮膚疾患の1つで、皮膚に小さな赤い発疹が生じます。年を取るにつれて頻度の多くため「老人性」という名称がついていますが、老人でなくても成人であれば認められる事があります。

老人性血管腫は皮膚に血豆のような鮮やかな赤い点々が出来るため、心配される方もいらっしゃいます。しかし基本的には放置していても問題のない良性の発疹になります。

老人性血管腫はどのような原因で生じるのでしょうか。また何か治療法はあるのでしょうか。

ここでは老人性血管腫について詳しく説明させて頂きます。

1.老人性血管腫とは

老人性血管腫(senile angioma)は、文字通り老人(高齢者)に多く認められる皮膚の赤い発疹です。

多くは胸やお腹といった体幹に発症します。また年を取るにつれて出来やすくなります。

発疹の形状としては数mmの盛り上がった小さな発疹である事が多く、鮮紅色(鮮やかな赤色)で光沢があります。

その正体は「血管腫」であり、顕微鏡で見ると真皮(表皮の下にある組織)に毛細血管の限局した増殖(=血管腫)が認められます。

基本的には良性のできものですので何も害は及ぼしません。そのため気にならないのであれば放置しておいて全く問題ありません。実際高齢者のほとんどは皮膚に老人性血管腫が生じてもそのまま放置しています。

若い方に老人性血管腫が生じてしまうと、美容的な理由から「消したい」と希望される事があります。そのような場合は、レーザー治療や小手術によって切除する事も出来ます。

2.老人性血管腫の原因

老人性血管腫はどのような原因で生じるのでしょうか。

老人性血管腫の正体は、真皮の毛細血管の部分的な増殖です。血管が異常に増殖してしまって生じる腫瘤(できもの)を「血管腫」と呼びますが、老人性血管腫も血管腫の1つになります。

ではなぜ真皮の毛細血管は増殖してしまうのでしょうか。

その原因として、

  • 日光(紫外線)による刺激
  • 機械的刺激(ひっかいたり、ぶつけたり)

などが指摘されています。

老人性血管腫は、白色人種で多く、反対に黒色人種で少ない事が知られています。これは黒色人種の方は紫外線を吸収してくれるメラニンが皮膚に豊富にあるため、紫外線の刺激を受けにくいためだと考えられます。

またアトピー性皮膚炎など、皮膚に慢性的な刺激がかかる方にも多く認められます。

3.老人性血管腫の症状

老人性血管腫ではどのような症状が認められるのでしょうか。

老人性血管腫は真皮に生じる小さな血管腫で、特に

  • 胸部
  • 背中

に生じやすいという特徴があります。もちろん例外はあり、全身の至るところに生じる可能性はあるのですが、多くはこの3か所です。

皮膚に赤い点々が出来ると目立つため、心配される方もいますが、老人性血管腫は特に何も症状はありません。年齢を重ねるにつれて数が増えてくる傾向にありますが、数が増えたからといって身体に害を及ぼすわけでもなく、気にならなければ様子をみていても問題ありません。

血管が増殖して生じている発疹ですので強くひっかけば出血しますが、通常に生活をしている分には老人性血管腫から出血したり、自然と破裂するような事はまずありません。

4.老人性血管腫の治療法

老人性血管腫が生じてしまったら、どのように対処すれば良いのでしょうか。

老人性血管腫は悪さをするものではありませんので、基本的には放置していて構いません。実際、老人の方の胸や背中を見ると多くの方に老人性血管腫が認められますが、そのほとんどは特に症状もないため放置されています。

そして放置されていても何も問題はありません。

老人性血管腫は「老人性」と名前がついていますが、発症するのは老人だけではありません。子供に生じる事はあまりありませんが、成人であれば誰でも生じる事はあります。

そのため女性の方の中には、見た目的な理由で「消したい」「手術で取りたい」と希望される事があります。老人性血管腫は治療する事が出来るのでしょうか。

老人性血管腫を取るための方法はいくつかあります。

Ⅰ.レーザー治療

もっとも多く行われているのは、レーザー治療です。

レーザー治療(Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation)は、レーザー光を当てることで、特定の色調の細胞を破壊する治療法です。

レーザー光は様々な波長のものがあり、波長によって吸収されやすい色調が異なります。

老人性血管腫に用いるのは、

  • ロングパルスヤグレーザー(Nd:YAG)
  • 炭酸ガスレーザー

になります。

ロングパルスヤグレーザーは、赤血球に含まれる赤色のヘモグロビンに吸収されます。ヘモグロビンに吸収されたレーザー光の光エネルギーはそこで熱変換され、血管腫を破壊します。

炭酸ガスレーザーは、血液中に含まれる水に吸収されます。水分に吸収されたレーザー光の光エネルギーはそこで熱変換され、血管腫を破壊します。

このようにレーザー治療はレーザーがあたった部位の細胞すべてを破壊するのではなく、レーザーがあたった部位のうち、そのレーザーの波長を吸収しやすい細胞だけを破壊する事が出来ます。

これによって老人性血管腫を治療する事が出来るのです。

Ⅱ.手術

レーザー治療でなかなか改善しないような血管腫や、大きい血管腫は外科的に切除する事もあります。

しかしほとんどの老人性血管腫は前述のレーザーで治療する事が出来ますので、手術まで行われる事はほとんどありません。

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