足の裏のイボ「足底疣贅」とは。魚の目との見分け方

足底疣贅(Plantar Wart)は、疣贅(イボ)の一種です。「足イボ」と呼ばれる事もあります。

疣贅(イボ)は皮膚のあらゆるところにできますが、その中で足の裏に出来るものが「足底疣贅」です。部位的に鶏眼(魚の目)と間違われやすいのですが、足底疣贅と鶏眼は異なる疾患になります。

足の裏にイボが出来ると、歩く時に圧迫されて違和感や痛みを感じます。そのため足底疣贅は他の部位に生じた疣贅と比べると苦痛を感じやすい疣贅になります。

足底疣贅は基本的には予後は良好な疾患で悪性のできものではありません。しかし歩く事で刺激される部位に生じる疾患であるため患者さんの苦痛も大きく、なるべく早い段階で治療すべきものになります。

ここでは足底疣贅という疾患について、その原因や症状、治療法などを詳しく説明させて頂きます。

1.足底疣贅とは

足底疣贅とはどのような疾患なのでしょうか。

足底疣贅は、文字通り足底(=足の裏)に生じた疣贅(=イボ)です。

足底疣贅は専門的には「ウイルス性疣贅」の一種になり、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスが表皮に感染することで発症します。

何らかの原因によって皮膚の一番表面の層である「表皮」にHPVが入り込むと、そこでHPVは増殖します。増殖したHPVは表皮を構成する角化細胞という細胞に感染し、その機能に異常を生じさせます。すると角化細胞はウイルスのせいで正常に分化(≒成長、発達)できなくなります。

その結果、疣贅(イボ)が生じてしまうのです。

足底疣贅はウイルス感染ですので、ウイルスをまき散らすような行為をすれば別の部位にも足底疣贅が広がってしまう事があります。例えば、病変部をかきむしったりすると、HPVが皮膚の別の部位にも移動してしまい、新たな部位でも足底疣贅が出来てしまう事があります。

自覚症状としては、イボが大きくなると痛みが出る事があります。これはイボ自体に痛みがあるわけではなく、歩く事でイボが正常皮膚を刺激するため、これによって痛むのです。毎日の中で歩くという行為をしない人はほとんどいないと思われますので、足底疣贅は疣贅の中でも患者さんの苦痛が大きい疾患になります。

2.足底疣贅の原因

足底疣贅はどのような原因で生じるのでしょうか。

実は足底疣贅は「皮膚のウイルス感染」が原因である事が分かっています。

足底疣贅は「尋常性疣贅」の一型だと考えられていますが、尋常性疣贅は皮膚にウイルスが侵入する事で疣贅(イボ)が生じる疾患になります。

疣贅を引き起こすウイルスは「ヒトパピローマウイルス(HPV)」と呼ばれ、HPVは現在100種類以上の型が発見されています。

ではどのようにHPVが足底疣贅を発症させるのでしょうか。

まず、HPVは皮膚に生じた小さな傷から表皮の中に侵入します。その後、表皮に存在する角化細胞に感染し、角化細胞に入りこんだHPVは角化細胞内で増殖します。

細胞内で増殖したHPVは、次第に角化細胞の機能に異常を生じさせるようになります。角化細胞は本来、分裂して皮膚を守るバリアとしての役割を担うように分化(≒成長、発達)していきます。

HPVに感染した角化細胞は、この正常な分化に異常をきたします。すると表皮に過角化(表皮が肥厚してしまう事)、角化不全(表皮が正常に形成されない事)が生じるようになります。

このようにして足底疣贅が生じてしまうのです。

【足底疣贅が生じる原因】

・ヒトパピローマウイルスが足底の表皮に感染する事で生じる

3.足底疣贅の症状

足底疣贅ではどのような症状が認められるのでしょうか。

疣贅自体は特に症状はありません。見た目として足の裏に疣贅(イボ)を認めますが、これ自体が痛んだりかゆくなったりという事はほとんどありません。

しかし足の裏に生じるため、歩いたりするときに疣贅が刺激されたり、周囲の組織を圧迫するため、これによって痛みが生じる事があります。

足底疣贅は、他の疣贅と異なり、あまり隆起(盛り上がり)はありません。

単発性(1個だけ)の事もありますが、ウイルスの感染が原因ですので、周囲の皮膚にも移ってしまい、多発する事もあります。

例えば、足底疣贅の部位を爪でひっかいたりすると同部に存在していたウイルスが爪によって別の部位に移ってしまいます。すると移った先で新たに足底疣贅を発症してしまう事もあります。

足底疣贅の色調は隆起はないものの、角質が肥厚し、ゴツゴツしたような見た目となります。これは「敷石状(モザイク状)」と表現される事もあります。

【足底疣贅の症状】

・数mmの疣贅(いわゆるイボ)を足裏に認める
・単発性の事もあるが、ウイルスが別の部位に移ってしまうと多発する事もある
・他の部位に生じる疣贅と異なり、隆起は乏しい
・敷石状(モザイク状)の角質肥厚・形成不全を認める

4.足底疣贅の治療法

足底疣贅(足イボ)は、どのように治療すれば良いのでしょうか。

足底疣贅は尋常性疣贅(いわゆる「イボ」)の一種ですので、基本的な治療法は尋常性疣贅に準じます。

ただし足の裏は角質が厚いため、他の部位に生じる疣贅よりも治療に時間がかかる傾向にあります。

まず症状が何もない場合は、自然と治る事を期待して様子をみてみるという方法もあります。

足底疣贅は表皮にHPVが感染した事で生じますが、表皮というのは常に生まれ変わっています。表皮を構成する角化細胞は、表皮の一番内側にある基底層と呼ばれる部位で作られます。その後、有棘層→顆粒層→角質層と徐々に表面に上がっていく過程で分化していき、最終的には垢(アカ)となって皮膚から剥がれ落ちていきます。

表皮の細胞のこのような分化過程は「ターンオーバー」と呼ばれており、このターンオーバーはおおよそ1カ月のサイクルで行われています。

つまり表皮の角化細胞内に感染したHPVも、表皮のターンオーパーとともに徐々に表面に押し上げられていき、いずれはアカと一緒に剥がれ落ちていくのです。

これによって足底疣贅も自然と治癒する事があります。

しかしウイルスの増殖が活発であったり、次々と皮膚の別の部位に感染を繰り返してしまうようなケース、歩行の際に痛みを伴うようなケースでは、積極的に治療を行う必要があります。

このような場合、用いられる治療法としては「液体窒素による凍結療法」があります。

これは液体窒素を用いてHPV感染細胞を凍結させる(凍らせる)治療法です。液体窒素は-196℃という極めて低温な液体であるため、これを病変部にスプレー噴射したり、綿球に液体窒素を付けて病変部にあてたりする事で感染細胞を凍結させ、壊死させる事が出来ます。

液体窒素による凍結療法は通常、1~2週間間隔で行われます。数回で治る事もありますが、人によっては数カ月かかる事もあります。

液体窒素による凍結療法は、足底疣贅をしっかりと治す事が出来ますが、イボを「凍らせて殺してしまう」という治療のため、液体窒素を当てる時に多少の痛みを伴う可能性があり、また疣贅周辺の皮膚にもダメージを与えて色素沈着などを引き起こしてしまうリスクがあります。

またお薬としては、「ヨクイニン(薏苡仁)」という漢方薬が用いられる事があります。ヨクイニンはハトムギの種子から作られている漢方薬です。

ヨクイニンがどのように足底疣贅に効果を発揮するのかは明確には解明されていませんが、以前より経験的に「ヨクイニンがウイルス性疣贅に効果がある」という事が知られており、現在でもしばしば用いられます。

現段階の報告としては、ヨクイニンは免疫細胞(ウイルスや細菌などの異物が体内に侵入してきた時に、それを検知してやっつける細胞)を活性化させると考えられており、これがHPVをやっつける作用につながるのではないかと考えられています。

ただしヨクイニンによる足底疣贅治療の効果は弱く、ヨクイニンだけではしっかりと治らないケースも少なくありません。

【足底疣贅の治療法】

・特に治療をしなくても自然と治る事もある
・液体窒素による凍結療法で、疣贅を凍らせて殺してしまう治療法もある
・ヨクイニンの服用で改善する事もあるが、効果は弱い

5.鶏眼(魚の目)との鑑別法

足底疣贅とよく似た疾患に「鶏眼(いわゆる魚の目)」があります。

この両者はどのような違いがあるのでしょうか。

まず原因として、足底疣贅はウイルス感染によって表皮細胞の分化に異常をきたすのが原因です。対して鶏眼は、表皮細胞が刺激される事によって反応性に角質が肥厚してしまう事が原因です。

このような違いから、足底疣贅は疣贅部を削るとすぐに出血が見られます。分化の異常が生じているため、角質のすぐ下に真皮があり、そこに毛細血管が走っているためです。

一方で鶏眼は角質が肥厚しているため、多少削っても真皮にたどり着かず出血を認めません。

またよく見ると足底疣贅と鶏眼は形状にも違いがあります。

足底疣贅はウイルス感染により、表皮の角化(表皮が肥厚してしまう事)、角化不全(表皮が正常に形成されない事)が生じます。角化と角化不全が混在するため、病変部はゴツゴツしたような見た目となり「敷石状(モザイク状)」と表現されます。

対して鶏眼は角質の肥厚が生じているため、均一に角質が肥厚するような形状を取る事が多くなります。

両者にはこのような違いがあります。

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