ビダール苔癬の原因と治療法

ビダール苔癬(lichen simplex chronicus)は皮膚疾患の1つで、「慢性単純性苔癬」とも呼ばれています。

あまりなじみのない病名ですが、該当する方は少なくなく、誰にでも出来うる皮膚疾患です。

ビダール苔癬はどのような原因で生じ、どのように治療していけばいいのでしょうか。ここでは、ビダール苔癬という疾患について詳しく紹介させて頂きます。

1.ビダール苔癬とは

ビダール苔癬(lichen simplex chronicus)は、皮膚を掻き続ける事によって、その部位の皮膚が肥厚してしまう状態の事を指します。

かゆくなる原因は様々ですが、衣服が擦れたり、身に付けている金属(ネックレスなど)で皮膚が荒れる事によって生じます。

皮膚を掻くという事は皮膚を傷付けるという事です。皮膚は傷付けられると、より固くなって再生しようとします。するとどんどんと皮膚が固く・厚くなっていくわけです。

ビダール苔癬では、かゆいために皮膚を掻いてしまい、それによって更に皮膚が肥厚してもっとかゆくなるという悪循環が生じています。

あらゆる年代の方に生じますが特に中年女性に生じやすく、部位としては首の後ろやわきの下(腋窩)・陰部といった汗が溜まりやすい部位に生じやすいという特徴があります。

ビダール苔癬は、強いかゆみを伴い、なかなかかゆみが治まらずに長く続くのが特徴です。かゆみが長引くために長期間掻き続けてしまい、皮膚が厚くなってしまうのです。

2.ビダール苔癬の原因

ビダール苔癬はどのような原因で生じるのでしょうか。

ビダール苔癬は、

  • 何らかの原因によって皮膚に痒みが生じて
  • その部位を繰り返し掻く事で皮膚が肥厚する

という2つのステップで発症します。

かゆみの原因は様々ですが、多いものとしては、

  • 衣服を着込みすぎて汗で皮膚が蒸れる
  • 素材が固い服によって皮膚に摩擦が生じる
  • ネックレスなどの金属を身に付ける
  • 虫刺され

などが挙げられます。

皮膚にかゆみが生じると、私たちはつい皮膚を搔いてしまいますが、実はいくら皮膚を搔いても、かゆみは治りません。

皮膚を掻いて一時的にかゆみを感じなるくなるのは、掻く事によって痛み刺激が加わるためで、その痛み刺激がある間だけかゆみを感じにくくなっているだけです。

つまりかゆみに対して掻く事で対応しようとすると、かゆみを感じないように常に痛み刺激を加え続けないといけません。皮膚を掻き続けると、その部位の皮膚が傷付き炎症が生じます。そして皮膚は傷付くとより厚くなって再生しようとします。

これを長期間繰り返しているうちに皮膚が苔癬化してしまうのです(苔癬化:慢性的な炎症によって皮膚が肥厚して固くなること)。

こうやって生じるのがビダール苔癬です。

3.ビダール苔癬の症状

ビダール苔癬ではどのような症状が認められるのでしょうか。

ビダール苔癬は皮膚にかゆみが生じ、それを掻き続ける事によって皮膚が肥厚してくる疾患です。

そのため、症状としては、

  • 皮膚のかゆみ
  • 皮膚の肥厚

が生じます。

部位としては首の後ろやわきの下などが多く、これらの部位を掻き続けると数mm程度の類円形の発疹(皮膚の盛り上がり)が認められるようになります。更に掻く事を続けると、徐々に発疹は癒合し、その部位の皮膚全体が肥厚します。

4.ビダール苔癬の治療法

ビダール苔癬が生じてしまったら、どのように対処すれば良いでしょうか。

ビダール苔癬の問題は2つあります。

それは、

  • かゆい事
  • 皮膚が肥厚してしまう事

です。これらの問題を解決するような治療法を考える必要があります。

このうち、根本的な原因はかゆみの方です。皮膚の肥厚はかゆみを我慢できずに掻いてしまうから生じている二次的な問題になります。そのためまずはかゆみに対する治療を優先させる事が大切です。

かゆみを引き起こす原因を探し、それを取り除く工夫をしましょう。例えばネックレスに対する金属アレルギーでかゆみが生じているのであれば、ネックレスを付けないようにする必要があるでしょう。

衣服の摩擦によってビダール苔癬が生じているのであれば、柔らかい材質の衣服を選ぶようにしましょう。

かゆみに対して明らかな原因がある場合は、このようにかゆみを生じさせない工夫を行えば、それだけで皮膚状態が改善してくることもあります。

このような工夫を行ってもなかなかかゆみが取れない場合、次の方法はお薬による薬物療法になります。

かゆみを抑えるお薬としては「抗ヒスタミン薬」が用いられます。抗ヒスタミン薬はヒスタミンのはたらきをブロックするお薬です。

ヒスタミンはかゆみを引き起こす物質ですので、抗ヒスタミン薬はかゆみも抑える作用を持ちます。

抗ヒスタミン薬には塗り薬もありますし、飲み薬もあります。かゆみの範囲が局所でかゆみの程度も軽度であれば塗り薬で良いでしょう。しかし、かゆみの範囲が広い場合は飲み薬を用いる事もあります。

長期の経過によって皮膚の肥厚が顕著である場合は、かゆみを抑える作用に加えて皮膚の肥厚を抑制する作用を持つ「ステロイド」が用いられる事もあります。

ステロイドは炎症を抑える事でかゆみを抑える作用を持つ他、肥厚した皮膚を薄くする作用も持ちますので一石二鳥の効果が期待できます。

ただしステロイドは長期に渡って連用していると、皮膚にばい菌が付きやすくなってしまったり、皮膚が薄くなりすぎるリスクもありますので漫然と使用し続けてはいけません。皮膚状態に注意を払いながら必要な期間のみ使用するようにしましょう。

ステロイドは主に塗り薬が用いられ、飲み薬が用いられる事はほとんどありません。

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