指が伸ばしにくい!?デュピュイトラン拘縮の原因と治療法

デュピュイトラン拘縮(Dupuytren’s contracture)は主に高齢の男性に多い病気で、指が曲がったまま拘縮してしまい伸ばしにくくなってしまう疾患です。

症状はゆっくりと進行し、徐々に指が曲がりはじめて伸ばしにくくなるため「年だから仕方ない」と病院に相談せずに諦めてしまう方もいらっしゃいますが、デュピュイトラン拘縮は適切な治療を行えば治す事が出来ます。

指は身体の中でも頻繁に使う部位であり、自由に動かせないと生活に大きな支障を来たします。そのため、適切な治療を受ける事は生活の質を保つためにも大切な事です。

デュピュイトラン拘縮はどのような原因で生じるのでしょうか。またどのような治療法があるのでしょうか。

ここではデュピュイトラン拘縮について詳しく説明させて頂きます。

1.デュピュイトラン拘縮とは

デュピュイトラン拘縮(Dupuytren’s contracture)は、指が徐々に伸ばしにくくなり、曲がった状態で固まってしまう疾患です。

特に高齢の男性で多い事が知られています。

デュピュイトラン拘縮という名称は、この疾患を最初に報告したフランスの外科医である「ギヨーム・デュピュイトラン氏」から名付けられています。

デュピュイトラン拘縮の正体は、手掌腱膜の異常な肥大・縮小です。手掌腱膜は手のひらの皮膚のすぐ下を走っている腱膜で、手のひらの皮膚を固定する役割やより奥を走っている神経や血管を守る役割を担っています。

手掌腱膜が縮小してしまうと、指も引っ張られていくため曲がっていってしまうのです。

どの指にも生じますが、特に多いのは手の指で、中でも薬指と小指に多く発症します。拘縮してしまう事で痛みなどは生じませんが、伸ばしずらいため物を取ったりつかんだりする際に支障が生じ、生活を不自由にしてしまいます。

片手にのみ認められる事もありますが両手に認められる事も多く、おおよそ半数の症例では両手に症状を認めます。

デュピュイトラン拘縮は緩やかに進行していきます。最初は少し動かしずらい程度ですが、放置し続けてしまうと徐々に伸ばしずらくなり、進行すると手を閉じたような状態で固まってしまい全く伸びなくなってしまう事もあります。

2.デュピュイトラン拘縮の原因

デュピュイトラン拘縮はどのような原因で生じるのでしょうか。

デュピュイトラン拘縮の原因は手掌腱膜の肥厚・縮小です。手掌腱膜は手のひらの皮膚のすぐ下にある腱膜なのですが、これが縮小しはじめると皮膚も巻き込んで収縮するため、指を曲げる方向に強くひっぱってしまい、指が曲がった状態で固定されてしまうのです。

ではなぜ手掌腱膜が肥厚・収縮してしまうのでしょうか。

これは手掌腱膜が繰り返し刺激される事や、糖尿病などの疾患の影響が指摘されています。

そのためデュピュイトラン拘縮は、

  • 手をよく使う方(手作業の仕事をされている、ロッククライマーなど)
  • 手に外傷歴のある方
  • 糖尿病の方

などに生じやすいと考えられています。

また遺伝の影響もあり、デュピュイトラン拘縮の家族歴のある方はデュピュイトラン拘縮を発症しやすくなる事が指摘されています。

3.デュピュイトラン拘縮の症状

デュピュイトラン拘縮ではどのような症状が認められるのでしょうか。

デュピュイトラン拘縮は急激に発症する疾患ではなく、緩やかに発症します。

最初は指の付け根にしこりのようなものが出来ます。これは手掌腱膜が肥厚しはじめているサインです。

そのうち、このしこりは指の方にまで索状に広がっていきます。これは「拘縮索」と呼ばれ、拘縮索が認められるようになると徐々に指が伸ばしにくくなってきます。

最初は「指がちょっと動かしずらいな」という程度ですが、更に腱膜の収縮が進めば、次第に指を伸ばす事が困難となってしまい、屈曲位(曲がった位置)で固定されてしまいます(拘縮)。

デュピュイトラン拘縮が生じているかどうかを判断する簡単な方法に「テーブルトップテスト」があります。これは患側の指・手のひらを平らなテーブルの上に同時につけることができるかどうかをみるテストです。指と手のひらが同時にテーブルにつかない場合、「陽性」と判断しデュピュイトラン拘縮が強く疑われます。

ちなみにデュピュイトラン拘縮では指を伸ばす事は障害されますが、曲げる事はふつうに行えます。

指は日常生活でよく使う部位の1つですので、指が思うように動かないと生活に様々な弊害が生じます。

  • ものを持てない
  • ドアノブを回せない
  • 顔を洗えない
  • 車の運転がしずらい
  • 手を使うスポーツがしずらい

などが生じ、生活に大きな支障を来たす事もあります。

4.デュピュイトラン拘縮の治療法

デュピュイトラン拘縮が生じてしまったら、どのように対処すれば良いのでしょうか。

デュピュイトラン拘縮は自然と治るものではありません。様子を見ていても、症状が進行していくだけであって改善する事はありませんので、生活に大きな支障を来たすようであれば早いタイミングで治療を行う事が大切です。

治療法としては、「注射」と「手術」の2つがあります。

いずれの方法もあまりにデュピュイトラン拘縮が進行してから行うと完全に症状が改善しない事がありますので、適切なタイミングで治療を行う事が大切です。

Ⅰ.注射

肥厚した腱膜の部位にザイヤフレックス(一般名:コラゲナーゼ)というお薬を注射します。

このお薬の成分は「コラゲナーゼ」という酵素になります。コラゲナーゼはコラーゲンを分解するはたらきを持ちます。

デュピュイトラン拘縮は、コラーゲンが手掌腱膜に過剰に沈着してしまった結果、肥厚・縮小が生じています。コラーゲンを分解するコラゲナーゼをその部位に打てば過剰なコラーゲンは分解されて症状が改善されます。

ザイヤフレックスのデュピュイトラン拘縮に対する有効率は85.7%と報告されており、適切な部位に注射すれば高い有効率が期待できます。

ちなみにこの注射は医師であれば誰でもできるというものではありません。腱膜への注射は十分に知識と技術のある医師が行わないと、腱断裂や靭帯損傷などの重大な副作用を引き起こす可能性があるためです。

ザイヤフレックスの注射は、

  • デュピュイトラン拘縮に関する十分な知識と治療経験を有する医師
  • ザイアフレックスの治療手技、適正使用に関する講習を受講した医師
  • ザイアフレックスの安全性及び有効性を十分理解し、治療方法に関し精通した医師

に限定されています。

ちなみに上記に該当する医師を探したい場合は、「デュピュイトラン拘縮酵素研究会」のサイトから確認する事が出来ます。

通常、ザイヤフレックスを注射したら翌日に再度受診し、医師によって伸展処置(屈曲拘縮していた指を伸ばす事)が行われます。

Ⅱ.手術

手のひらを切開し、腱膜の肥厚した部分を除去する手術によって改善が得られます。これは腱膜切除術と呼ばれます。

手術は確実な治療法ですが、侵襲が大きいため、注射が普及してきた近年では行われる頻度は徐々に少なくなっています。

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