異所性蒙古斑とはどのような疾患なのか?原因と対処法

異所性蒙古斑(Aberrant Mongolian Spot)は、蒙古斑(もうこはん)が典型部位に出来てしまうものです。

蒙古斑は、赤ちゃんに認められる青い色調変化ですが、通常はお尻や背中に出来ます。しかし、これが顔やお腹、腕などに出来てしまうのが異所性蒙古斑です。

蒙古斑も異所性蒙古斑も生じる機序は同じですが、生じる部位が異なります。

顔や腕などの目立つ部位に蒙古斑が出来てしまうと、気にする親御さんも多くいらっしゃいます。

成長するに連れて自然と治っていくものも多いのですが、美容的に気になってしまう部位であったり、あるいは成長してもあまり消失しないような場合は治療が行われる事もあります。

異所性蒙古斑は何故生じるのでしょうか。また治療したいような時はどのような治療法があるのでしょうか。

ここでは異所性蒙古斑について、その原因や対処法を詳しく紹介していきます。

1.異所性蒙古斑とは

異所性蒙古斑(Aberrant Mongolian Spot)は、蒙古斑の一種です。

蒙古斑とは皮膚の一部が青く色調変化している状態で、「母斑症」の1つになります。

その青い斑点の正体は、真皮に存在するメラノサイト(色素細胞)です。

メラノサイトは私たちの皮膚に存在している細胞なのですが、通常は真皮ではなく表皮に存在します(皮膚の一番外側が表皮で、その下が真皮になります)。メラノサイトはメラニンという黒色の物質を産生するため、表皮にメラノサイトがあると皮膚が褐色や黒っぽい色調になります。

黒色人種の方は表皮にたくさんのメラノサイトがあるため皮膚が黒っぽくみえるのです。反対に白色人種の方は表皮のメラノサイトが少ないため皮膚が白く見えます。

このように本来、真皮にメラノサイトは存在しないのですが、何らかの理由で真皮に残存してしまう事で表面から見ると青い斑のように見えるのです。

ところが真皮にメラノサイトが残ってしまうと、表面からは青く見えるようになります。これが蒙古斑の正体になります。

蒙古斑(もうこはん)という名称がついているのは、蒙古斑は蒙古人種(モンゴリアン系、モンゴル系の方)に非常に多く認められるためです。モンゴリアン系の赤ちゃんにはほぼ100%、異所性蒙古斑が認められます。

また同じくアジア系の人種にも多く、日本人にも高確率(約90%)で蒙古斑は発症します。反対に白色人種には少なく蒙古斑が生じるのは10%前後と報告されています。

ちなみに黒色人種の方にも実は80%ほどの頻度で蒙古斑は生じているのですが、黒色人種の方はそもそも表皮のメラノサイトが多くて皮膚が黒っぽいため、異所性蒙古斑が存在しても見えません。

¥蒙古斑は生まれてからすぐに確認でき、2歳くらいまでは色もどんどん濃くなるため心配されるお母さまもいらっしゃいます。しかし多くは2歳をピークに色が薄くなっていき、ほとんどは10歳までに自然と消えていきます。

蒙古斑は典型的にはお尻(臀部)に生じます。しかし時にそれ以外の部位に生じる事もあります。顔や腕、腰や脇腹、肩などあらゆる部位に出現する可能性があり、このように典型部以外の部位に生じた蒙古斑を「異所性蒙古斑」と呼びます。

蒙古斑と異なり、目立つ部位に出来やすい異所性蒙古斑は、見た目の問題から、

「本人が気にするのではないか」
「これが原因でいじめられたりしないだろうか」

などと心配される親も多く、通常の蒙古斑と比べて治療を希望される方の多い疾患です。また原因は不明ですが、蒙古斑よりも異所性蒙古斑の方が自然に消えにくいという特徴があります。

美容目的として治療が行われる場合、レーザー治療が行われます。

ただし本来表皮にあるメラノサイトが真皮にあるだけで、身体に害のあるものがあるわけではありません。そのため気にならないのであれば放置しておいて全く問題ありません。

2.異所性蒙古斑の原因とは

異所性蒙古斑はどのような原因で生じるのでしょうか。

異所性蒙古斑は、蒙古斑と全く同じ機序で生じます。両者は生じる部位が異なるだけで、生じている機序は同じなのです。

異所性蒙古斑の正体は真皮に存在するメラノサイト(色素細胞)です。メラノサイトはメラニンという色素を産生します。メラニンは黒褐色の色素で紫外線を吸収するはたらきがあります。

私たちが普段、太陽の光を浴びても紫外線によって皮膚や臓器がダメージを受けないのは、メラニンが紫外線を吸収してくれているからなのです。

本来、メラノサイトは表皮の基底層と呼ばれる部位に存在し、全身の皮膚にほぼ均等に分布しています。このメラノサイトの量によって皮膚の色が決まり、白色人種の方はメラノサイトが少なく、反対に黒色人種の方はメラノサイトの量が多くなっています。

このような本来表皮に均等に存在するはずのメラノサイトが真皮に残存してしまい、更に臀部・背部以外の特定の部位に密集して存在してしまうのが異所性蒙古斑です。

なぜこのような事が起こるのでしょうか。

赤ちゃんはお母さんのお腹の中で10カ月ほど過ごしますが、この期間中に神経提細胞という細胞が生まれます。神経堤細胞から芽細胞と呼ばれるメラノサイトの元となる細胞が作られ、この芽細胞は成長の過程で皮膚表面に徐々に移動していき、最終的には皮膚の表皮でメラノサイトとして機能するようになります。

本来は身体の中から表皮まで移動するはずのメラノサイトが、何らかの原因で真皮内に残存してしまう事で生じるのが蒙古斑・異所性蒙古斑になると考えられています。

【異所性蒙古斑が生じる原因】

・蒙古斑と同じ機序で生じる
・本来であれば表皮にあるはずのメラノサイトが真皮にある事が原因である
・発達の過程で本来は表皮まで移動するはずの芽細胞が真皮に残存する事で生じる

3.異所性蒙古斑の症状はどのようなものがあるか

異所性蒙古斑では、何か症状があるのでしょうか。

異所性蒙古斑は内出血のように青っぽいアザに見えますので、「ぶつけたのではないか」と心配されるお母さまもいらっしゃいます。また、「ぶたれたのではないか??」と虐待と勘違いされてしまう事もあります。

しかし実際は内出血ではなく、私たちの皮膚に存在するメラノサイトが特定の部位の真皮に密集しているだけに過ぎません。

そのため別に痛くもありませんし、何も症状は生じません。

放置していてもどんどん大きくなったり癌化したりするものではありません。

見た目的には気になるかもしれませんが、何も悪さをするものではないのです。

【異所性蒙古斑の症状】

・見た目が正常皮膚と異なる以外は何も症状はない
・放置していても害のあるものではない
・本来であれば表皮にあるはずのメラノサイトが真皮にある事が原因である
・発達の過程で本来は表皮まで移動するはずの芽細胞が真皮に残存する事で生じる

4.異所性蒙古斑に対する対処法・治療法

異所性蒙古斑を見つけたら、どのように対処すれば良いでしょうか。

異所性蒙古斑は悪さをするものではありませんので、基本的には放置していても問題はありません。

通常、2歳くらいまでは異所性蒙古斑が濃くなったりする事があるため心配されるお母さまもいらっしゃいますが、2歳をピークに色調は薄くなっていき、典型的には10歳頃までには自然と消えています。

異所性蒙古斑は、臀部・背部に生じる蒙古斑と比べて自然と消えにくいという特徴がありますが、悪さをするものではありませんので、何も困っていないのであればそのまま放置していて問題ありません。

もし美容的な理由で異所性蒙古斑を取りたい場合は「レーザー治療」が行われます。

レーザー治療(Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation)は、レーザー光を当てることで、特定の色調の細胞を破壊する治療法です。

レーザー光は様々な波長のものがあり、波長によって吸収されやすい色調が異なります。

メラニンに吸収されやすい波長のレーザー光を異所性蒙古斑の部位に当てると、レーザー光は異所性蒙古斑のメラニン色素に吸収されます。そしてメラニンに吸収されたレーザー光の光エネルギーはそこで熱変換され、メラノサイトを破壊します。

このようにレーザー治療はレーザーがあたった部位の細胞すべてを破壊するのではなく、レーザーがあたった部位のうち、そのレーザーの波長を吸収しやすい細胞だけを破壊する事が出来ます。

これによって異所性蒙古斑を治療する事が出来るのです。

実際はターゲットとするメラノサイトが皮膚のどのくらいの深さに存在しているのか、大きさはどのくらいなのかによって、用いる波長やレーザーを当てる時間は異なってきます。

またいくら局所を狙って照射するとは言っても、多少正常の皮膚にもダメージを与えてしまうため、治療の際には痛みを伴う事もあります。そのため、小さなお子様にレーザー治療を行う場合は全身麻酔下で行う事もあります。

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