口唇に静脈湖が出来る原因とその治療法

静脈湖(Venous Lake)は、高齢者の口唇に出来る青紫色のできものです。

医学的には血管腫(血管の増殖によって形成された良性のできもの)の一種になり、これは良性の腫瘤(できもの)になります。

特に症状もないため必ずしも治療が必要なものではありませんが、気になるという方に対しては治療が行われます。

ここでは静脈湖という疾患について、その原因や症状、治療法などを詳しく説明させて頂きます。

1.静脈湖とは

静脈湖とはどのような疾患なのでしょうか。まずはこの疾患の特徴について簡単に紹介します。

静脈湖は血管腫に属する疾患です。血管腫というのは「血管の腫瘍」という事で、何らかの原因によってで血管が異常に増殖してしまう事で生じるのが、血管腫です。

静脈湖は主に口唇に認められる事が多く、口唇に生じる血管腫だという事が出来ます。

口唇でも下の口唇に生じやすい傾向があります。また口唇以外では耳介などに生じる事もありますが、頻度は多くはありません。

口唇に青紫色のできものが出来るため一見すると「血豆」と間違われますが、静脈湖は血豆とは異なります。

血豆というのは皮膚に外傷が加わる(ぶつける、はさむなど)事によって生じる皮下の内出血です。対して静脈湖は血管腫であり、出血ではなく血管の増殖が原因です。

なぜ口唇で血管の増殖が生じて静脈湖が発症するのかというのは、はっきりと分かってはいません。

高齢者になるほど生じやすくなる事から口唇の皮膚の老化は一因になっていると考えられています。また日光による紫外線の刺激、歯で口唇を噛んでしまう刺激なども一因になるのではないかと考えられています。

静脈湖は良性のできものですので、痛みなどの苦痛となるような症状は生じません。

そのため放置していても実害は何もありませんが、口唇のできものですので美容的に気にされる方もいらっしゃいます。

治療としては、以前は小手術による切除などが行われていましたが、現在では、

  • レーザー治療
  • 電気メスによる焼灼

などが主流となっています。

2.静脈湖の原因

静脈湖はどのような原因で生じるのでしょうか。

静脈湖の正体は血管です。血管が特定の部位で異常に増殖してしまって生じる腫瘤(できもの)を「血管腫」と呼びますが、静脈湖も血管腫の1つになります。

ではなぜ口唇の血管が増殖してしまうのでしょうか。

実はその原因というのははっきりとは特定されていません。

考えられている原因としては、

  • 皮膚の老化
  • 日光(紫外線)による刺激
  • 機械的刺激(ひっかいたり、噛んだり)

などが推測されています。

静脈湖は高齢になればなるほど発症しやすくなる事が知られており、これは加齢(=老化)が発症リスクになっている事を示唆しています。

また皮膚に何らかの刺激(紫外線の刺激、噛んだりする事による機械的刺激など)が加わると、その刺激によって血管の増殖が生じ、血管腫を形成する原因となる可能性があります。

【静脈湖が生じる原因】

・皮膚の老化、紫外線による刺激、機械的刺激などが原因となると考えられている

3.静脈湖の症状

静脈湖ではどのような症状が認められるのでしょうか。

まず生じる部位としては口唇が多く、口唇の中でも下唇によく生じます。これは下唇の方が機械的刺激を受けやすいためだからではないかと考えられています。

口唇以外にも出来る事はあります。例えば耳介などに出来る事もありますが、頻度は多くはありません。

特に高齢者に生じやすく、年齢が高くなればなるほど生じる率も高くなります。

口唇に数mm~1cmほどの血豆のような青紫色のできものが出来るため、「知らない間にぶつけたのではないか」「悪いできものではないか」と心配される方もいますが、静脈湖は良性のできものであり、発症しても心配する必要はありません。

血管の異常増殖が原因ですので強くひっかけば出血しますが、通常に生活をしている分には静脈湖から出血したり、自然と破裂するような事はまずありません。

【静脈湖の症状】

・数mm~1cmほどの丸いできものが主に口唇に出来る
・特に下唇に生じやすい
・自覚症状は全くない。痛みを生じる事もなく、そこから出血する事もまずない

4.静脈湖の治療法

静脈湖を消したいという場合は、どのような方法があるのでしょうか。

まず静脈湖は悪さをするものではありませんので、絶対に治療をしなくてはいけないというものではありません。良性のできものであるため、本人が気にならないようであれば治療せずに放置していて問題ありません。

実際、静脈湖が出来てもそのまま放置されている方も少なくありませんが、それで生活上何か困るような症状が出てくる事はまずありません。

しかし特に女性の方などでは美容的な目的な理由で「消したい」「手術で取りたい」と希望される事もあります。

このような場合、静脈湖は治療する事が出来るのでしょうか。

静脈湖を取るための方法はいくつかありますので、代表的なものを紹介します。

Ⅰ.レーザー治療

静脈湖の治療法でもっとも多く行われているのは、レーザー治療です。

レーザー治療(Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation)は、病巣部にレーザー光を当てることで、特定の色調の細胞を破壊する治療法です。

レーザー光は様々な波長のものがあり、波長によって吸収されやすい色調が異なります。

静脈湖に用いるのは、

  • ロングパルスヤグレーザー(Nd:YAG)
  • 炭酸ガスレーザー

などになります。

ロングパルスヤグレーザーは、赤血球に含まれる赤色のヘモグロビンに吸収されます。ヘモグロビンに吸収されたレーザー光の光エネルギーはそこで熱変換され、その部位の血管を破壊します。

炭酸ガスレーザーは、血液中に含まれる水に吸収されます。水分に吸収されたレーザー光の光エネルギーはそこで熱変換され、その部位の血管を破壊します。

血管腫は血管が異常増殖したできものですので、血液に含まれる赤血球も水分も豊富に含んでいます。そのため赤血球や水分をターゲットとしてレーザー照射をすれば、血管腫である静脈湖を破壊する事が出来るのです。

このようにレーザー治療はレーザーがあたった部位の細胞すべてを破壊するのではなく、レーザーがあたった部位のうち、そのレーザーの波長を吸収しやすい細胞だけを集中的に破壊する事が出来ます。

これによって比較的安全に静脈湖を治療する事が出来るのです。

Ⅱ.電気メスによる焼灼

口唇からはみ出していないような小さな静脈湖は、電気メスで焼いてしまうという治療法もあります。

肌色の皮膚の部位にまで静脈湖がはみ出していると、その部位の焼灼は傷跡として残ってしまう可能性が高くなるため、電気メスによる焼灼は口唇の赤い部位に静脈湖が限局しているケースで検討されます。

【静脈湖の治療法】

・悪性のできものではないため、本人が気にならなければ治療しなくても良い
・レーザーで血管腫を破壊してしまう治療法がある
・電気メスで血管腫を焼灼してしまう治療があるが静脈湖が口唇にとどまる場合に限られる

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