首の後ろにある赤いアザ「ウンナ母斑」の原因と対処法

首の後ろの髪の毛の生え際あたりに赤いアザがある方がいらっしゃいます。

自分からは見えにくい場所にありますが、何らかのきっかけでこのアザに気付くと「悪いできものだったらどうしよう」と少し心配になってしまうものです。別に大きくもならないし痛くもかゆくもないけど、何だか心配だなと感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この首の後ろの赤いアザは「ウンナ母斑」と呼ばれます。

ウンナ母斑は首の後ろという自分では見えない部位に生じ、また髪の毛で隠れてしまいやすい部位でもあるため気付かれにくいのですが、実は生まれた時からあるものです。

赤ちゃんの時に母親が気付き、「この首の後ろのアザは何でしょうか?」と相談される事もあります。

このウンナ母斑はなぜ生じるのでしょうか、ウンナ母斑はどのようなもので何か処置や治療は必要なものなのでしょうか。

ここではウンナ母斑について詳しく紹介していきます。

1.ウンナ母斑とは

まずはウンナ母斑について、その全体像を説明していきます。

ウンナ母斑は、新生児の後頸部(首の後ろ)に認められる赤いアザです。赤みと正常皮膚との境界が不明瞭で、皮膚の盛り上がりはなく、逆三角形様の形状を取る事が多いという特徴があります。

ウンナ母斑は母斑症に属する皮膚疾患です。母斑(ぼはん)というのは、いわゆる「アザ」の事で皮膚の一部の色調や形態に異常を来たしている状態の事です。

ウンナ母斑は「正中部母斑(いわゆるサーモンパッチ)」と同様の機序で生じるものだと考えられています。サーモンパッチは顔面の正中(前額部や眼瞼、眉間など)に生じる赤いアザですが、ウンナ母斑は後頸部に生じます。

またサーモンパッチはほとんどの場合、成長につれて自然と消失していきますが、ウンナ母斑は自然と消失するのは半数程度で、残り半数の方はアザがそのまま残ってしまうという違いもあります。

ただしサーモンパッチは「顔」という目立つ部位に生じるため、ほとんどの母親が気付きますが、ウンナ母斑は、髪に隠れやすく目立たない部位に生じるためそのまま気付かれず(あるいは気付かれてもそんなに心配されず)、成長してから誰かに指摘されて気付くという事も少なくありません。

赤いアザがある事に気付くと、

「ぶつけたのではないか」
「ばい菌が感染しているのではないか」

と心配される方もいますが、ウンナ母斑の赤みは皮膚をぶつけた事や病原菌に感染した事による赤みではありません。

皮膚が赤くなっているのは、その部位の皮膚の毛細血管が増殖しているためです。血液は赤いため、血液が流れている毛細血管も赤く見えます。その毛細血管が首の後ろの一部の皮膚で増殖してしまっている事で赤いアザのように見えるのです。

そのためウンナ母斑は痛みや苦痛を感じるようなものではなく、自覚症状の全くないアザになります。

ウンナ母斑の半数は、成長とともに自然と改善していきます。しかしアザが消えずに残ってしまう方も一定数いらっしゃいます。

アザが残っても目立たない部位ですのでそのまま気にされず生活される方が多いですが、どうしても美容的に気になるようであれば治療する事も出来ます。

2.ウンナ母斑が生じる原因とは

生まれた時から認められる首の後ろの赤いアザを「ウンナ母斑」と呼びます。

このウンナ母斑はどのような原因で生じるのでしょうか。

ウンナ母斑は後頸部の皮膚の毛細血管が増殖する事で生じます。毛細血管が増殖すればその部位には血液が多く流れるため、皮膚が赤く変色して赤く見えるというわけです。

ではなぜ毛細血管が増殖してしまうのでしょうか。

実はその原因について詳しい事は分かっていません。遺伝の影響や発達・成長の段階での何らかの異常も指摘されていますが、明確な原因は特定されていません。

ウンナ母斑は、赤ちゃんの顔の正中に赤みが生じる「サーモンパッチ」と同じ病態だと考えられていますが、ウンナ母斑もサーモンパッチもどちらも「身体の正中に生じる」という特徴があります。

このような発症部位の特徴からは、やはり成長・発達の過程で何らかの異常が生じたのではないかと考えられます。

【ウンナ母斑が生じる原因】

・後頸部の皮膚の一部の毛細血管が増殖する事で赤みが生じる
・皮膚の毛細血管が増殖する明確な原因については分かっていない
・遺伝性や成長・発達の過程での何らかの異常にて発症したのではと考えられている

3.ウンナ母斑はどのようなアザなのか

ウンナ母斑は、どのような母斑(アザ)なのでしょうか。また何か困るような症状は認められるのでしょうか。

前項でも説明したようにウンナ母斑は皮膚の毛細血管が増殖した結果、赤く見えているものです。毛細血管は身体のいたるところに存在している正常な組織であり、異常なものではありません。

正常な組織によって生じている皮膚の変化ですから、ウンナ母斑の部位に痛みやかゆみといった症状が生じる事はありません。

皮膚に赤いアザがあると「ぶつけたのではないか」「ばい菌に感染したのではないか」と心配になりますが、ウンナ母斑はぶつけたり皮膚が感染したことによって生じる皮膚の赤みとは全く機序が異なります。

皮膚をぶつけると赤くなりますが、これは皮膚細胞が機械的な刺激を受けた事によって損傷し、炎症が生じるためです。またばい菌に感染して皮膚が赤くなるのも、ばい菌が皮膚細胞を障害する事によって細胞が損傷し、炎症が生じるためです。

炎症とは、

  • 発赤(赤くなる)
  • 熱感(熱くなる)
  • 腫脹(腫れる)
  • 疼痛(痛くなる)

の4つの徴候をきたす状態で、細胞がダメージを受ける事で生じます。

ウンナ母斑はこのような炎症による赤みではなく、局所で毛細血管が増殖している事が原因の赤みです。その部位にたくさんの血液が流れているから赤くみえているだけで、炎症とは根本的に異なります。

ウンナ母斑のアザの特徴としては、

  • 後頸部の髪の生え際辺りに生じる
  • 逆三角形の形の赤みが生じる
  • 生後すぐ~1週間後くらいに生じる
  • アザの境界は不明瞭
  • 圧迫すると赤みは消える

といった点が挙げられ、この点でもぶつけたりする事によって生じた炎症とは区別できます。

まずウンナ母斑は後頸部(首の後ろ)近くに生じます。

生まれてからすぐに認められる事もあれば、生後は目立たないけど1週間くらいすると徐々に目立ってくることもあります。

アザの境界が不明瞭です。ウンナ母斑は毛細血管が増殖して生じていますが、毛細血管はウンナ母斑の部位だけにあるわけではなく、他の部位ともつながっているため、赤みと正常皮膚との境界がはっきりしないようなアザになります。

赤みの正体は血管ですから、押せば血管がつぶれて赤みは消えます。

【ウンナ母斑のアザの特徴】

・痛みやかゆみといった自覚症状は認めない
・後頸部に生じ、逆三角形の形になる事が多い
・生後すぐ~1週間後くらいに生じる
・アザの境界は不明瞭
・圧迫すると赤みは消える

4.ウンナ母斑の対処法・治療法

首の後ろにウンナ母斑がある事に気付いたら、どうすればよいのでしょうか。

基本的にウンナ母斑は害のない皮膚疾患です。見た目的に気になる事はあるかもしれませんが、痛み・かゆみといった症状や、放置する事で癌化するなども問題は生じません。どんどんと赤みが大きくなっていく事もありません。

そのまま放っておいても半数の例では自然と消えていくため、まずは様子を見ていて問題ありません。

1~3歳までの間に約半数の方のウンナ母斑は消失します。

ただしウンナ母斑を見つけたら、それが本当にウンナ母斑なのかは確認しておく必要があります。判断に迷うようであれば一度小児科などで相談しても良いでしょう。

ウンナ母斑で間違いなければそのまま放置しておいて問題ありませんが、ウンナ母斑に似た皮膚病変もあるため、そのような疾患がたまたま後頸部に生じているのであれば治療が必要になる事もあります。

赤ちゃんに生じるウンナ母斑に似たものとしては、

  • 苺状血管腫(乳児血管腫)
  • ポートワイン母斑(単純性血管腫)

などがあります。

苺状血管腫もウンナ母斑と同じく赤ちゃんに認められる赤いアザです。ウンナ母斑との違いとしては、苺状血管腫は皮膚の盛り上がりを伴い、皮膚表面が苺のようにブツブツしています。

ただし苺状血管腫も初期は盛り上がりが乏しい事もあり、ウンナ母斑との見分けがつきにくい事があります。

ウンナ母斑は母斑(皮膚の色調・形態異常)に属しますが、苺状血管腫は腫瘍(いわゆるできもの)に属します。

腫瘍と言っても癌のような悪性腫瘍ではなく、身体に悪さはしない良性腫瘍です。ウンナ母斑と同じく毛細血管の増殖が原因ですが、毛細血管が腫瘍性に増殖して「血管腫」という形態になります。またウンナ母斑と異なり、後頸部のみならず身体の至るところに生じます。

苺状血管腫も自然と消えていく事もあるのですが、痕が残ってしまう事もあるため、部位や形状によっては手術やレーザー照射などの治療が行われる事もあります。

ポートワイン母斑は出生時から認められる赤いアザで、ウンナ母斑と同じく盛り上がりはありませんが、境界が明瞭である点が異なります。

ウンナ母斑と同じく毛細血管の異常増殖が原因なのですが、自然と消えていく事はないため、美容的に気になる場合はレーザー照射が行われます。

また身体の成長につれて母斑が大きくなったり盛り上がったりしてくる事があるため、診断がついたら早い段階での治療が推奨されます。

ポートワイン母斑自体は良性のものであり、身体に何か害をきたすものではありません。しかしポートワイン母斑であった場合の注意点として、この疾患が認められた場合、背景にスタージ・ウェーバー症候群(Sturge Weber Syndrome)という神経難病が隠れている事があります。

スタージ・ウェーバー症候群は血管腫が皮膚のみならず、脳神経や末梢神経などの神経領域にも出来てしまうため、

  • てんかん
  • 発達障害
  • 運動麻痺
  • 視力障害

などの神経症状が出現する可能性があります。

10万人に1人という珍しい疾患ですが、万が一を考えてスタージ・ウェーバー症候群が隠れていないかはしっかりと確認しておく必要があります。

これらの疾患をしっかりと鑑別し、「ウンナ母斑で間違いない」と診断されれば、基本的には急いでの治療の必要はなく経過観察となります。

様子をみていれば1~3年もすれば半数以上でアザは消失しています。また仮に消失しなかったとしても、何か問題となるような後遺症などが残る事もありません。

3歳を超えてもアザが消失しない場合は、そのアザは一生残る可能性が高くなります。この場合、ウンナ母斑自体は何も悪さをするものではないため、患者さん自身が気にならないのであればそのまま様子を見ても問題ありません。自然と消える事はありませんが、大きくなる事もありませんし、何か問題となる症状が出る事もありません。

髪に隠れて目立たない部位でもあるため、そのまま様子をみる方も少なくありません。

しかし「何とかこのアザを消したい」と希望される場合は、レーザー治療が行われます。

レーザー治療とはレーザー光を当てることで、特定の色調の細胞を破壊する治療法です。

レーザー光は様々な波長のものがあり、波長によって吸収されやすい色調が異なります。

赤血球中のヘモグロビンに吸収されやすい波長のレーザー光をウンナ母斑に当てると、レーザー光はヘモグロビンが存在する赤血球に吸収されます。そしてヘモグロビンに吸収されたレーザー光の光エネルギーはそこで熱変換され、毛細血管を破壊します。

このようにレーザー治療はレーザーがあたった部位の細胞すべてを破壊するのではなく、レーザーがあたった部位のうち、そのレーザーの波長を吸収しやすい細胞だけを破壊する事が出来ます。

これによって毛細血管の増殖からなるウンナ母斑を消す事が出来るのです。

実際はターゲットとする毛細血管が皮膚のどのくらいの深さに存在しているのか、大きさはどのくらいなのかによって、用いる波長やレーザーを当てる時間は異なってきます。

またいくら局所を狙って照射するとは言っても、多少正常の皮膚にもダメージを与えてしまうため、治療の際には痛みを伴う事もあります。

レーザーは効果の高い治療法ですが、

  • 何回か通う必要がある事
  • 正常皮膚にも多少のダメージを与えるため、軽い痛みを伴う事がある

がデメリットとして挙げられます。

【ウンナ母斑の予防法・治療法】

・ウンナ母斑を予防する方法はない
・発症しても身体に害はないため慌てて治療する必要はない
・約半数の症例では、1~3年ほどでウンナ母斑は自然と消失する
・ボートワイン母斑やそれに伴うスタージ・ウェーバー症候群が隠れていないか除外を
・3年経過してもアザが残っている場合は生涯残ってしまう可能性が高い
・そのまま放置していても問題ないが、気になるようであればレーザー照射が有効

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