老人性紫斑とは。高齢者の手に紫色のあざが出来やすいのはどうして?

老人性紫斑(ろうじんせいしはん:senile purpura)は、主に高齢者の前腕・手背(手の甲)に生じる赤紫色のあざ(紫斑)の事です。

高齢者の方の中には、手によく数cmほどの赤紫色のあざがある方がいます。これが老人性紫斑です。

老人性紫斑は何か困るような症状を来たすものではありません。そのまま様子をみていれば少しずつ改善していくもので、悪性のものではありません。

しかし手があざだらけになってしまうと、「何かまずい病気にでもなっているのではないか」と心配になってしまう方もいらっしゃいます。

ここでは老人性紫斑について、この疾患が発症する原因や予防策などを詳しく説明させて頂きます。

1.老人性紫斑とは

まずは老人性紫斑について、その特徴を簡単に紹介します。

老人性紫斑は主に高齢者の手(前腕や手背)に認められる、赤紫色のあざです。

老人性紫斑の正体は「皮下の出血」です。血液は赤色ですが、皮膚の中で出血しているため赤紫色に見えるのです。

ではなぜ、皮膚の中(皮下)で出血してしまうのでしょうか。

この原因は何か病的なものではなく、単純に「血管の老化」だと考えられています。

年を重ねていくと、次第に血管も老化していきます。すると血管壁がもろくなり、ちょっとした外傷で血管壁は壊れ、そこから血液が漏れ出しやすくなります。

患者さんの多くは、「特にぶつけたりしていないんだけどなぁ・・・」とおっしゃいますが、軽く机などに手をぶつけたり、寝ている時にベッド柵にぶつけていたりし、これが原因で血管壁が壊れて出血しています。

前腕や手は体幹や足と比べて、動かす事が多く、また衣服に覆われていないため外傷を受けやすい部位なのです。そのため老人性紫斑はこの部位に多く生じます。

このような軽い外傷が原因ですので、紫斑は大きくなる事はなく、大きくても数cmほどとなります。

紫斑は軽微な外傷による皮下の出血が原因ですので、特に症状はありません。痛かったりかゆかったりする事もありません。

老人性紫斑は何よりも予防が大切になります。手に生じやすい理由は手は衣服などで保護されていないためですから、保護する事が予防につながります。

部屋の中のぶつけやすい部位を保護する事はとても有効で、ベッド柵にタオルを巻いたり、机の角を丸くしたりといった工夫で発症は随分と少なくなります。

基本的にはお薬などは用いませんが、紫斑が頻回に生じる方や美容的に気になってしまう方は止血作用のあるお薬を用いる事もあります。

2.老人性紫斑の原因

老人性紫斑はどのような原因で生じるのでしょうか。

老人性紫斑は「血管の老化」に「軽微な外傷」が加わる事で生じます。

私たちの身体は年を重ねるごとに徐々に老化してもろくなっていきますが、血管も例外ではありません。高齢になっていくと血管ももろくなっていき、ちょっとした外傷で血管壁が壊れて血液が漏れ出しやすくなります。

更に若い方であれば外傷で血管壁が壊れても、血管外に結合組織が密に存在しているため、血液はそこまで多くは漏れません。しかし高齢者は血管外の結合組織も粗くなっているため出血した血液は皮下に広がりやすく、紫斑を形成しやすいという理由もあります。

老人性紫斑は血管が老化しているだけで生じるものではなく、多くの場合で「軽微な外傷」が直接の原因となります。

軽微な外傷とは、「家具に軽く身体がぶつかる」といった些細な刺激で生じるもので、

  • 机などの角
  • ベッド柵

などが原因となる事が多くあります。

【老人性紫斑が生じる原因】

・血管の老化に軽微な外傷が合わさって生じる
・高齢者は結合組織が疎であるため、血液が漏れると広がりやすい

3.老人性紫斑の症状

老人性紫斑ではどのような症状が認められるのでしょうか。

部位としては、主に手(前腕や手背)に生じます。これらの部位に生じやすい理由は、

  • よく動かす部位であり
  • 衣服で保護されていない事が多い

ためです。

よく動かす部位というのは、それだけ「ぶつけやすい」という事が出来ます。また衣服で保護されていないという事はぶつけた時のダメージが緩和されにくいという事です。

これらを満たす前腕や手背(手の甲)は、軽微な外傷が起こりやすいため、老人性紫斑が起きやすいのです。

老人性紫斑は血管がもろくなっているのが原因ですが、そうはいっても血管壁が壊れて出血すると、止血作用をもつ物質が活性化して、ある程度の時間が経てば血管は修復されます。

そのため紫斑はどんどんと大きくなる事はなく、大きくても数cm程度にとどまります。

また老人性紫斑は特に自覚症状はありません。痛かったりかゆかったりという事はなく、手にあざはあるものの、苦しむような症状は何も認めません。

【老人性紫斑の症状】

・特に自覚症状はない
・手(前腕や手背)に数cmほどの紫斑が生じる

4.老人性紫斑の予防法・治療法

老人性紫斑は、どのように治療すれば良いのでしょうか。

まず老人性紫斑は何よりも予防する事が重要です。

老人性紫斑は血管の老化に軽微な外傷が加わる事で引き起こされますが、このうち血管の老化は自然現象ですので仕方がないところがあります。

そのため軽微な外傷を予防する事が大切になります。

具体的には、部屋の中でぶつけやすい場所を見つけ出し、そこを保護するようにしましょう。

特に、

  • 机などの角の尖っている部位
  • ベッド柵

などは老人性紫斑を作る原因となっている事が多いので、角を丸くしたり、ベッド柵に柔らかいタオルやスポンジを巻いたりといった工夫が有用になります。

また季節的に問題がなければ、なるべく長袖の衣服を着る事も前腕の老人性紫斑を予防するためには有用です。

治療法に関しては、基本的に積極的な治療は行われません。老人性紫斑は軽微な外傷が生じなければ基本的に発症しないものだからです。

すでに生じてしまった紫斑も、新たに外傷が生じなければ自然と消失していきます。

しかし生活の中で工夫をしてもなかなか紫斑が改善されなかったり、美容的に気になるので積極的に治したいという方は、血管壁を増強したり、止血作用を持つお薬を服用する事もあります。

具体的には、

  • シナール
  • アドナ(一般名:カルバゾクロムスルホン酸ナトリウム水和物)
  • トランサミン(一般名:トラネキサム酸)

などが処方されます。

しかしこのようにお薬まで使用する事は多くはありません。

【老人性紫斑の治療法】

・軽微な外傷が起きないように生活の中で工夫をする事が一番大切
・軽微な外傷がなくなれば自然と消失していく
・止血作用や血管壁増強作用を持つお薬が用いられる事もある

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