汗疱と異汗性湿疹|原因と治療法は?

汗疱(かんぽう:pompholyx)、異汗性湿疹(いかんせいしっしん:dyshidrotic eczema)は、主に手掌(てのひら)や足底(あしのうら)、手足の指などに見られる皮膚疾患です。

「汗」の文字が入っている通り、その原因は「汗」で、本来であれば皮膚表面に分泌されるはずの汗が表皮内に分泌される事で水疱(みずぶくれ)が出来たり、湿疹(皮膚の炎症)が生じます。

数mmの小さな水疱がたくさんできるため、「ウイルスに感染したのではないか」「内臓が悪いのではないか」とびっくりされる方もいらっしゃいますが、汗疱・異汗性湿疹は基本的に予後は良好な疾患です。

汗疱・異汗性湿疹は、一体どのような疾患なのでしょうか。どのような原因で生じ、どのように治療していくのでしょうか。

ここでは汗疱・異汗性湿疹について詳しく説明させて頂きます。

1.汗疱・異汗性湿疹とは

汗疱(かんぽう)は、文字通り「汗」によって作られた「水疱(みずぶくれ)」になります。

1~2mmほどの小さな水泡が手のひら、足の裏、手足の指にたくさんできてしまいます。

汗というのは「汗腺(かんせん)」という器官で作られます。手のひらや足の裏に存在する汗腺は「エクリン汗腺」と呼ばれ、その先端は皮膚表面に直接開口しています。

そのため、通常であれば汗は皮膚表面に分泌され、そのまま蒸発していくはずです。しかし何らかの原因で表皮の中に汗が分泌されてしまう事で汗疱は発症します。

表皮の中に汗が分泌されると、その部位は盛り上がって水疱(みずぶくれ)となります。

これが「汗疱」です。

また異汗性湿疹も基本的には汗疱と同じような機序で発症します。ただ、汗が分泌される部位が汗疱よりも少し深いため、水疱にはならず、表皮の紅斑(赤い斑点)として出現します。

どちらもかゆみや不快感を伴います。

違いとしては汗疱は表皮の表面に水疱としてとどまっているため、周囲に炎症を起こさず、そのために密集した小さな水疱があるものの、その周囲の皮膚の状態は正常です。

対して異汗性湿疹は、汗疱より少し深い部位に汗が分泌されるため、周囲に軽い炎症を引き起こしてしまい、皮膚が斑点状に発赤(赤くなる事)します。

2.汗疱・異汗性湿疹の原因

汗疱・異汗性湿疹はどのような原因で生じるのでしょうか。

汗疱・異汗性湿疹は、本来であれば皮膚表面に分泌されるべき汗が、何らかの原因によって表皮内に分泌されてしまう事で生じます。

なぜこのような事が生じるのかは、実ははっきりとは分かっていません。以前は汗腺や皮膚に異常があるわけではないと考えられていましたが、近年では研究が進み、エクリン汗腺の閉塞が原因なのではないかとも指摘されています。

汗疱・異汗性湿疹を引き起こす誘因の1つとして、

  • 金属アレルギー(ニッケル、クロムなど)
  • 喫煙
  • 慢性感染(副鼻腔炎や扁桃炎)
  • ストレスによる自律神経の乱れ

などが報告されています。

なぜこれらが誘因になるのかもまだ明らかにはなっていませんが、これらの誘因によってエクリン汗腺が閉塞しやすくなり、発症するのではないかとも考えられています。

3.汗疱・異汗性湿疹の症状

汗疱・異汗性湿疹ではどのような症状が認められるのでしょうか。

汗疱は本来であれば皮膚表面に分泌されるべき汗が、表皮の中に分泌されてしまう疾患です。

これにより皮膚表面に密集した多数の小水疱(小さな水ぶくれ)を認めます。汗は水疱内にとどまっているため、周囲の皮膚組織は強い炎症は引き起こさず、通常周囲の赤みは伴いません。

異汗性湿疹も汗疱と同じく、本来であれば皮膚表面に分泌されるべき汗が表皮内に分泌されてしまう疾患です。

汗疱よりも少し深い部位に生じるため、小水疱にはならず、汗は周囲の皮膚組織の炎症を引き起こしてしまうため、点状に赤い紅斑が認められます。

症状が認められる部位としてはどちらも、

  • 手のひら(手掌)
  • 足の裏(足底)
  • 手足の指

が多く、左右対称性に認められます。

指は、指間(指と指の間)や指側面によく生じます。

汗をかきやすい人(多汗症)や、汗をかきやすい時期(春や夏など)に生じやすい傾向があります。

症状としては、

  • かゆみ
  • 違和感

が認められ、ひどく掻いてしまうと炎症が悪化して、痛みを感じる事もあります。

4.汗疱・異汗性湿疹の治療法

汗疱・異汗性湿疹は、どのように治療すれば良いのでしょうか。

汗疱・異汗性湿疹は原因は特定されている疾患ではないため、原因そのものを根治する事は現時点では困難です。

そのため治療法は基本的には症状を抑えるような方法が取られます。

汗が分泌される部位に異常が生じていますので、汗の分泌自体を減らす事が出来れば症状も軽減するはずです。

根本的な治療法ではありませんが、このような治療法としては、

  • 高温多湿の環境を避ける
  • 制汗作用を持つ塩化アルミニウムを手足に塗る

という方法が用いられます。

塩化アルミニウムは、病院で処方してもらう事が出来ます。

濃度が高いほど制汗作用も強くなりますが、かぶれなどの副作用が生じる頻度も多くなります。濃度は最大でも20%までにすべきで、最適な濃度は医師に判断してもらうようにしましょう。

また「かゆみ」や「違和感」といった症状を抑える治療として、抗ヒスタミン薬やステロイド外用薬が用いられる事もあります。

汗疱・異汗性湿疹は本来皮膚表面に分泌されるべき「汗」が表皮内に入ってしまっていますが、汗は身体にとって害のあるものではありませんので、かゆみなどの症状さえ和らげる事が出来れば、表皮内の汗自体は身体にそこまで害のあるわけではありません。

かゆみを抑えるお薬としては「抗ヒスタミン薬」が用いられる事があります。これはアレルギー性のかゆみを引き起こす原因物質である「ヒスタミン」のはたらきをブロックするお薬になります。

また炎症を抑える作用を持つステロイド外用剤が用いられる事もあり、こちらもかゆみに対して効果が期待できます。

皮膚表面を穏やかに溶かす事(ピーリング)で、表皮内に貯留してしまった汗を改善させるという方法もあり、これには穏やかなピーリング作用を持つ「尿素」の軟膏が用いられる事もあります。

また汗疱は、

  • 金属アレルギー
  • 喫煙
  • 慢性感染(副鼻腔炎や扁桃炎)
  • ストレスによる自律神経の乱れ

といった事が原因で生じる事もあります。

このような原因によって生じている事が明らかな場合は原因に応じた治療が行われる事があります。

例えば喫煙が原因なのであれば禁煙が治療になりますし、ストレスが原因なのであればストレスを軽減させるように工夫する事が治療になります。

また慢性感染が原因なのであれば、抗菌薬によって病原菌をやっつけたりする事もあります。

汗疱・異汗性湿疹は人によっては繰り返す事があります。毎年同じような時期になると汗疱が出現するという方もいらっしゃり、おそらく気候による自律神経の乱れなどが原因になっていると考えられます。

このような方は、汗疱が出現しそうな時期になったら早めに治療をはじめ、本格的な発症を予防する事も有用です。

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