口腔アレルギー症候群の原因と治療法

口腔アレルギー症候群(OAS:Oral Allergy Syndrome)は、特定の食べ物を食べた後に口腔周辺にアレルギー症状が出現する疾患です。

幼児期から成人まで幅広い年代で認められます。

野菜や果物といった植物を食べる事で発症しやすく、口の中の違和感や唇の腫れ、唇とその周囲の蕁麻疹といった症状が生じます。

口腔アレルギー症候群の方は、自分がどの食べ物と相性が悪くて、もしアレルギー反応が生じてしまったらどのように対処すればよいのかを知っておく必要があります。

ここでは、口腔アレルギー症候群について詳しく紹介していきます。

1.口腔アレルギー症候群とは

口腔アレルギー症候群(OAS:Oral Allergy Syndrome)は、ある特定の食べ物を食べると、口の中および周囲に限局してアレルギー症状が出現してしまう疾患です。

原因となる食べ物は人によって異なりますが、

  • 野菜
  • 果物
  • 豆類

といった植物性の食べ物になります。

口の周りにアレルギー症状が出現しますが、多くの例では症状は軽度にとどまります。ただしごく稀に重篤なショック状態となる事もありえます。

お薬で症状を抑える事は出来ますが、症状は軽度の事が多いためお薬を必要とせず様子を見るだけで改善する事も少なくありません。

根本のアレルギー反応を生じさせないようにする方法は現時点では乏しいため、基本的には原因となる食べ物を摂取しないように気を付けていく必要があります。

2.口腔アレルギー症候群が発症する原因

口腔アレルギー症候群はどうして生じるのでしょうか。

原因の全てが解明されているわけではありませんが、原因の1つとして「花粉」が考えられています。

「花粉と口のアレルギーに何の関係があるんだ??」と疑問に思うかもしれませんが、実は意外なところで両者は関係しているのです。

口腔アレルギー症候群の原因となる食べ物は、

  • 野菜
  • 果物
  • 豆類

といった植物性の食べ物です。そして花粉も植物から作られるものです。

アレルギーの原因になる物質をアレルゲンと呼びますが、花粉がアレルゲンとなる疾患に「アレルギー性鼻炎(花粉症)」があります。

面白い事に、ある植物の花粉に含まれているアレルゲン物質は、別の果物に含まれている成分と非常に似ている事が少なくないのです。

そのため、ある特定の植物の花粉に対してアレルギー反応が生じてしまうと(これを「感作」と呼びます)、似た成分を持つ果物を摂取したときもアレルギー反応が生じてしまうようになります(これを交差抗原性と呼びます)。

具体的には花粉中に含まれる、

  • PR-10(pathogenesis related protein 10)
  • プロフィリン
  • LTP(lipid transfer protein)

といった物質がアレルゲンとなり、様々な野菜・果物・豆類と交差抗原性を発揮してしまいます。

アレルゲンとなる花粉の種類と、口腔アレルギー症候群が生じる食べ物の組み合わせとしては、

  • ブタクサ:メロン、スイカ、キュウリなどと交差抗原性を持つ
  • シラカバ:りんご、桃、いちご、さくらんぼ、キウイ、ナシ、マンゴー、ビワ、大豆と交差抗原性を持つ
  • スギ:トマトと交差抗原性を持つ
  • イネ:メロン、スイカ、オレンジ、ピーナッツと交差抗原性を持つ
  • ヨモギ:セロリ、ニンジン、マンゴーと交差抗原性を持つ

と報告されています。

3.口腔アレルギー症候群が生じる機序

口腔アレルギー症候群はどのような機序で生じるのでしょうか。

口腔アレルギー症候群はアレルギー反応の1つですので、まずアレルギーがどのような機序で生じるものなのかをみていきましょう。

アレルギーとは、私たちの身体の防御システム(免疫)が誤作動をしてしまい、本来であれば攻撃する必要のない物質を攻撃してしまう現象です。

本来、免疫は有害な物を攻撃するように出来ています。身体の中にばい菌が入ってきたら免疫は速やかにそれを感知し、ばい菌を攻撃します。私たちの身の回りにはたくさんのばい菌がおり、これらはしばしば身体の中に侵入してきます。しかし私たちが健康でい続ける事ができるのは、身体に異常が生じる前に免疫がばい菌を感知し、やっつけてくれるためです。

ここから分かるように、免疫というのは私たちの身体の健康を守るために非常に大切なシステムなのです。

この免疫反応が何らかの原因で誤作動してしまうのがアレルギーです。アレルギーでは、本来であれば身体に有害でないもの、例えば食べ物とか花粉とかお薬とかが身体に入ってきた時、免疫が「有害な物質が入ってきた!」と勘違いして、これらの物質を攻撃してしまいます。これによって、蕁麻疹やかゆみ、熱、腹痛、鼻水といった様々な症状が生じてしまいます。

アレルギーは生じる機序によってⅠ型からⅣ型に分類されていますが、口腔アレルギー症候群は「Ⅰ型アレルギー」の機序で発症します。

Ⅰ型アレルギーは即時型アレルギーとも呼ばれます。免疫が「これは有害だ」と勘違いしてしまう対象を「アレルゲン」と呼びますが、Ⅰ型アレルギーではアレルゲンが身体に侵入してきてからすぐにアレルギー反応が生じるのが特徴です。

アレルゲン(ここでは野菜や果物、大豆などの成分)が身体から入ってくると、アレルゲンに対して「抗体」という物質が作られ、抗体がアレルゲンに結合します。

すると肥満細胞(マスト細胞)と呼ばれる細胞がこれを感知して「ヒスタミン」という物質を放出します。

ヒスタミンはアレルギー症状を起こす物質であり、これによりアレルギー症状が生じるのです。

4.口腔アレルギー症候群の原因となる食べ物は?

口腔アレルギー症候群はどのような食べ物で生じやすいのでしょうか。

口腔アレルギー症候群は花粉と交差抗原性を持つ成分を含む食べ物が原因となりますので、植物性の食べ物が原因となります。

具体的には、

  • 野菜(きゅうり、トマト、にんじん、セロリなど)
  • 果物(りんご、桃、いちご、さくらんぼ、メロン、スイカ、オレンジなど)
  • 豆類(大豆、ピーナッツなど)

が原因となる食べ物になります。

上記には代表的な食べ物を書きましたが、野菜や果物、豆類であればあらゆるものが原因になりえます。

4.口腔アレルギー症候群の症状

口腔アレルギー症候群では、花粉にアレルギー状態となり(感作)、その状態で特定の食べ物を食べると口の周囲にアレルギー症状が出現します。

生じる症状としては、口の中あるいは周辺のアレルギー症状で、

  • 口の周りや口腔内の発赤・紅斑・かゆみ
  • 口腔内の違和感
  • 唇の腫れ

などになります。

ほとんどの例では様子を見れる程度の軽度の症状にとどまり、様子を見ていれば自然と症状は改善していきます。

しかし稀に、

  • 血圧低下
  • 呼吸苦

といった症状が出現する事もあります。このような状態では早急な治療が必要になります。

5.口腔アレルギー症候群の治療・予防法

口腔アレルギー症候群が生じてしまったら、どのように対処すれば良いでしょうか。

口腔アレルギー症候群は、

  • 花粉に対してアレルギー状態となり(感作)
  • その花粉と交差抗原性を持つ植物を食べる

ことで発症します。

このうち、花粉に対してアレルギー状態となってしまう事は予防する事は出来ませんし、一度アレルギー状態になってしまったら、その状態を根本から治す方法はあまりありません。

最近では「減感作療法」というアレルギーの根本を治す治療もありますが、スギなど特定の花粉に限られるため、すべての人が行える治療法ではありません。また、長期間の根治強い治療が必要なため、そこまで広くは普及していないのが現状です。

そのため、基本的にはアレルギーを引き起こす食べ物を食べない事に尽きます。

自分がどの食べ物で口腔アレルギー症候群を起こすのかをしっかり覚えておき、出来るだけ食べないように気を付けましょう。

もし食べてしまった場合でも、多くのケースで症状は軽いため基本的には様子を見て構いません。しかし症状が強いようであれば、

  • 抗ヒスタミン薬
  • ステロイド

といったアレルギー症状を抑えるお薬が有効です。

抗ヒスタミン薬は、アレルギーの原因となっているヒスタミンのはたらきをブロックするお薬です。

ステロイドは免疫のはたらきを抑える作用があります。正常な免疫も抑えてしまいますが、誤作動している免疫も抑える事が出来ますので、アレルギー症状の改善が得られます。

いずれも飲み薬の他に塗り薬もありますので、症状が軽度であれば塗り薬を口周囲に塗るだけでも良いでしょう。

稀に血圧が下がったり、呼吸がうまく吸えなくなったりといった症状が生じる事もあり、このような兆候が認められた時は速やかに病院を受診してください。

この場合、治療は一刻を争う可能性があるため、場合によっては救急車などを呼んで早急に病院に向かう必要があります。

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