赤ちゃんに生じる白いあせも「水晶様汗疹」の原因と対処法

生まれたばかりの赤ちゃんの皮膚に、白っぽい小さな水ぶくれがたくさん出来ることがあります。数日経つとこの水ぶくれはやぶけ、白っぽい小さな皮剥けが皮膚に散在するように見えます。

これは水晶様汗疹と呼ばれる疾患で、新生児の皮膚に生じやすい汗疹(あせも)の一種です。

水晶様汗疹は特に痛みやかゆみといった自覚症状はないため、これによって赤ちゃんが辛い思いをする事はありません。しかし、このような皮膚異常を見ると「果たしてこのまま様子を見ていていいのだろうか」と親は心配になってしまうかもしれません。

この水晶様汗疹はどのような原因で生じるのしょうか。また水晶様汗疹に対して何か気を付ける事や必要な治療・対処法などはあるのでしょうか。

ここでは水晶様汗疹について詳しく説明させて頂きます。

1.水晶様汗疹とは

まずは水晶様汗疹がどのような疾患なのかについて紹介します。

水晶様汗疹は汗疹(あせも)の一種で、生後数日の赤ちゃんの皮膚に生じやすい汗疹になります。

では汗疹(あせも)とはどういった病態なのでしょうか。

汗疹は、本来は皮膚の表面に分泌される「汗」が、皮膚の中に分泌されてしまう事によって皮膚に湿疹が出来てしまう状態です。

汗疹は、皮膚のどの層に汗が漏れるかによって、

  • 水晶様汗疹(汗が角質内に漏れる)
  • 紅色汗疹(汗が表皮の有棘層に漏れる)
  • 深在性汗疹(汗が表皮と真皮の境界部に漏れる)

の3つに分ける事ができます。

水晶様汗疹は汗疹の中でも表層の角質層に生じるものになります。

皮膚は表面から身体の奥に向かって、

  • 表皮
  • 真皮
  • 皮下組織

という層が形成されており、表皮は更に、

  • 角質層
  • 顆粒層
  • 有棘層
  • 基底層

という4つの層に分かれます。

水晶様汗疹は、表皮の中でもっとも表面に近い「角質層」に汗が漏れてしまう疾患です。

通常、汗は汗管という管を通って皮膚の表面に分泌されますが、汗の分泌量が多くなると一部が皮膚の中に分泌されてしまう事があります。これによって生じる湿疹が「汗疹」になります。

水晶様汗疹は汗疹の中でも表皮のもっとも表面近くに生じるため、小さな水ぶくれ(水疱)を形成し、この水ぶくれは簡単に破けます。その結果、皮膚の小さな皮むけがたくさんできてしまい、皮膚が白っぽく粉をふいているようにみえます。

角質の細胞に感覚神経は通っていないため、水晶様汗疹では特に痛みやかゆみといった症状は生じません。

水晶様汗疹は、「汗がたくさん分泌される事」が原因です。これによって汗の一部が皮膚の中に漏れて出てしまうのです。

汗がたくさん分泌される原因は気温・室温の高い環境にいたり、湿度の高い環境にいる事が最多ですので、水晶様汗疹の治療はお薬などではなく、気温や湿度を適正にする事や入浴などによる皮膚の保湿が重要になります。

特に痛みやかゆみも生じないため、安易にステロイドなどを塗布してしまうと得られる効果は乏しく、副作用のリスクだけが生じる事となってしまいます。

水晶様汗疹は、重篤な状態になる事はなく、数日も経てば自然を治っていきます。また経過中に痛みやかゆみなどの不快な症状をきたす事もありません。

2.水晶様汗疹が生じる原因とは

主に生後数日の赤ちゃんの皮膚に生じる多数の小さな水ぶくれや皮むけを「水晶様汗疹」と呼びます。

この水晶様汗疹はどのような原因で生じるのでしょうか。

水晶様汗疹が発症する原因を理解するため、まずは汗(あせ)の役割と汗が分泌される仕組みについて説明させていただきます。

暑い所や湿度の高い所にいると、汗がたくさん出てきます。汗は蒸し暑い環境(高温多湿)でその分泌量が増えますが、なぜ汗は分泌されているのでしょうか。

実は汗が分泌されるのは「体温調節」を行うためです。

汗のような水分は蒸発するときに周囲の熱を奪うはたらきがあり、これは「気化熱」と呼ばれます。 つまり汗を分泌してそれを皮膚から蒸発させる事で、体温を下げる事ができるという事です。

私たち人間の身体は、体温が常に一定に保たれるような仕組みを持っています。みなさんも平熱はだいたい36℃前後だと思います。外界の気温が暑くても寒くても、私たちの体温は36℃前後で変化しません。

これは体温が高くなってしまうと、生体活動を維持するために必須である酵素のはたらきが悪くなってしまうためです。そうならないよう、体温が高くなりそうな時は汗を分泌する事で、適切に体温を下げ、体温を一定に保つようにしているのです。

汗がなぜ分泌されるのか、その役割について理解頂けたでしょうか。

では次に汗疹が生じる原因について紹介します。

ここまでで説明したように、汗の分泌には体温を適度に下げる役割があります。汗は皮下組織にある「汗腺」と呼ばれる組織で作られ、体温が高くなってきた事が感知されると「汗管」という管を通って皮膚の表面に分泌されます。

暑い所や湿度の高い所で過ごし、多量の汗が分泌されるようになると、汗管を通っている汗の一部が皮膚の中に漏れてしまうことがあります。

皮膚の中に汗が分泌されると、水ぶくれになってしまったり、汗によって炎症が生じたりします。これ汗疹です。

なぜ水晶様汗疹が赤ちゃんに生じやすいかというと、赤ちゃんは汗の分泌による体温調整が活発だからです。赤ちゃんは代謝が良く汗を良くかきますので、水晶様汗疹をはじめとした汗疹(あせも)を生じやすいのです。

【水晶様汗疹が生じる原因】

・本来であれば表皮表面に分泌される汗が角質内に分泌される事で生じる
・汗が分泌されやすい高温多湿の環境で生じやすい
・赤ちゃんは代謝が活発であるため、水晶様汗疹が生じやすい

3.水晶様汗疹の分類と経過・症状

水晶様汗疹は、どのようなタイプがあるのでしょうか。またその経過や症状はどのようになっているのでしょうか。

水晶様汗疹は「汗疹」の一種で、これはいわゆる「あせも」の事になります。

汗疹は、皮膚のどの層に汗が漏れるかによって、

  • 水晶様汗疹(汗が角質内に漏れる)
  • 紅色汗疹(汗が表皮の有棘層に漏れる)
  • 深在性汗疹(汗が表皮と真皮の境界部に漏れる)

に分かれます。

汗疹のうち、皮膚のもっとも表層である角質に生じるものが「水晶様汗疹」です。

いずれの汗疹も「汗がたくさん分泌される事」が原因ですので、高温多湿環境下(厚い場所、湿度の高い場所)で生じやすくなります。

水晶様汗疹は主に生後数日の新生児に生じますが、生じやすい部位としては、

  • 体幹

が挙げられています。

経過としては、高温多湿下の環境で発症しやすく、発症後数日で水ぶくれが破れ、小さな皮むけが散在するようになります。この白っぽくみえる皮膚の剥がれが水晶のように見える事から「水晶様汗疹」と呼ばれてます。

水晶様汗疹は診断後も、基本的には経過観察で構いません。特に痛みやかゆみもないため、汗が過剰に分泌され続けなければ汗疹は自然と落ち着いていき、数日で改善していきます。

【水晶様汗疹の分類と経過】

・汗疹の一種である
・汗をかきやすい環境(高温多湿下、緊張時など)で生じやすい
・代謝の活発な赤ちゃんに生じやすい
・皮疹は数日で自然と改善していく

4.水晶様汗疹の対処法・治療法

赤ちゃんの皮膚に水晶様汗疹がある事に気付いたら、どうすればよいのでしょうか。

基本的に水晶様汗疹は害のない皮膚疾患です。見た目的に白っぽい皮むけの散在が認められますので少し気になるかもしれませんが、特に痛み・かゆみといった不快な症状が生じる事はありません。

そのまま様子をみていても多くの場合数日で改善していきますので、基本的に積極的な治療は必要ありません。

水晶様汗疹は、汗が分泌される事によって皮膚にトラブルが生じる疾患ですので、汗が皮膚にダメージを与えないような工夫が治療法としては有効です。

具体的には、

  • 室温や湿度を適切に調整する
  • 吸汗性の良い下着を装着する
  • 入浴やスキンケアを定期的に行う

といった方法が有効です。

また皮膚の皮むけが痛々しいからとお薬を欲しがる方もいらっしゃいますが、基本的にステロイドのようなお薬は用いられる事はありません。

得られるメリット(炎症を抑える、かゆみや痛みを抑えるなど)よりも、懸念されるデメリット(皮膚が感染に弱くなる、皮膚が薄くなってしまうなど)の方が大きいためです。

もし治療薬を用いるのであれば、保湿剤になります。

  • ウレパール(一般名:尿素)
  • プロペト(一般名:白色ワセリン)
  • ヒルドイド(一般名:ヘパリン類似物質)

といった保湿作用の強い外用剤が用いられる事はあります。

【水晶様汗疹の対処法・治療法】

・痛みやかゆみなどの症状はない
・多くの場合、数日で改善していく
・汗の分泌量が過度にならないような生活の工夫が重要
(室温・湿度の適正化、下着や寝具などの調整、スキンケアなど)
・ステロイド外用剤などは原則用いないが、保湿剤が用いられる事はある

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