女性の顔の黒ずみ!黒皮症の原因と有効な治療法

黒皮症(Melanosis)は、正確には「女子顔面黒皮症」「Riehl(リール)黒皮症」と呼ばれる疾患で、主に中年女性に生じる顔の褐色の色素沈着です。

「女性」の「顔」という、もっとも美容的に問題となる部位に生じるものであるため、健康上の問題がなくても治したいと希望される方も少なくありません。

この黒皮症はどのような原因で生じるのでしょうか。また治療法にはどのようなものがあるのでしょうか。

ここでは黒皮症が生じる機序や、その対処法・治療法について紹介します。

1.黒皮症とは

まず黒皮症(こくひしょう)とはどのような疾患なのかについて簡単に説明します。

黒皮症は正確には「女子顔面黒皮症(Meranosis Faciei Feminina)」と呼ばれます。

その名の通り「女性」の「顔面」の皮膚が「黒くなる」疾患です。女性の中でも主に中年女性に多く認められます。

女性にとって顔はもっともシミや色素沈着などが気になる部位です。その部位に黒ずみが生じるわけですから精神的な苦痛は小さくありません。

ではなぜ顔の皮膚が黒ずんでしまうのでしょうか。黒皮症は「接触性皮膚炎」の一種だと考えられています。接触性皮膚炎とは、いわゆる「かぶれ」です。

原因となるのは主に化粧品など顔に塗る物質であり、これにより皮膚に軽度のかぶれが生じ、これが長期間繰り返される事で次第に皮膚が黒ずんでくるのです。

以前は問題となる事も多かったのですが、このような問題から最近では化粧品会社も刺激性に注意して化粧品を作るようになっているため、近年では黒皮症が発症する頻度というのは少なくなっています。

化粧品などの化学物質によって皮膚に刺激が加わり続けると、皮膚では軽度の炎症が持続します。この炎症によってメラニンの合成が促され、更に本来であれば表皮に存在するはずのメラニンが表皮の下の層である真皮に入り込んでしまう事で黒皮症になります(この機序については次項でより詳しく説明します)。

黒皮症は皮膚が黒ずんではいますが、特に健康上の問題があるものではありません。接触性皮膚炎ですので原因物質を塗っている急性期は多少の痛みやかゆみを生じる事はありますが、その後は黒ずみは残るものの、症状は特に何もありません。

痛みや痒みもほとんどなく、また放っておいても癌化したりといった事もありません。

そのため黒皮症が生じていても、本人が気にならないのであれば特に治療をしなくても問題はありません。

しかし「女性」の「顔」の黒ずみですから、美容的に気にされる方は非常に多く、黒ずみを消したいと希望される場合は、治療が行われます。

治療は原因物質(主に化粧品)の中止が基本ですが、それだけで改善が得られない場合はステロイドを塗ったり、レーザー治療が行われる事もあります。

2.黒皮症の原因

黒皮症はどのような原因で生じるのでしょうか。

黒皮症の原因は、化粧品など顔に塗る化学物質が原因で生じる「接触性皮膚炎」だと考えられています。

化粧品の中でも特にタール系色素を含む化粧品で生じやすい事が知られています。タール系色素というのは染料や合成着色料であり、食品や化粧品などに色を付けるのに用いられています。「赤色〇号」「黄色〇号」というやつですね。

接触性皮膚炎は、何らかの物質が皮膚に接触する事で皮膚がダメージを受け炎症が生じている状態です。誰にとっても明らかに有害な物質で炎症を生じる事もありますし、アレルギー的な機序で特定の人にとってのみ有害となって炎症が生じることもあります。

タール性色素は皮膚に炎症を引き起こしやすいため、これによって接触性皮膚炎が生じ黒皮症になってしまうケースは少なくありません。しかしタール系色素以外でもアレルギー的な機序で接触性皮膚炎が生じ続ければ、黒皮症が発症する可能性はあります。

化粧品を塗って、ひどい炎症が生じれば通常はすぐに使用をやめますので、皮膚の黒ずみは生じません。

しかし軽い程度の接触性皮膚炎であると、本人もあまり気付かないため、多少の違和感を感じながらも化粧品の塗布を毎日続けてしまう事があります。

すると皮膚が繰り返し刺激を受け続けます。皮膚は強い刺激を受けたり、弱い刺激であってもそれを繰り返し受け続けると、その刺激に耐えられるように皮膚の状態を適応させようとします。

具体的には表皮を肥厚させる事で刺激に対する防御力を高めたり、メラニンを多く産生する事で紫外線を吸収する能力を高めたりするのです。

これにより、毛孔(毛穴)に一致した皮膚の角化性丘疹(表皮が肥厚して生じる発疹)が生じ、またメラニンという物質が増える事で皮膚が黒っぽくなります。

表皮にはメラニンと呼ばれる黒い色素細胞があります。メラニンは紫外線を吸収するはたらきがあり、「メラノサイト」と呼ばれる細胞から作られます。

紫外線は短い波長の光線で、私たちの身体・臓器にとって害となります。紫外線の光が身体の中の臓器にまで達してしまうと、私たちの臓器はダメージを受けてしまいます。メラニンは臓器が紫外線によってダメージを受けないよう、臓器に達する前に紫外線を吸収するはたらきがあります。

メラノサイトは、皮膚が受ける刺激に応じてメラニンの産生量を調節しています。紫外線が多い地域で生活していると、メラニンをたくさん作らないと臓器が傷付いてしまうため、メラノサイトはメラニンをたくさん産生します。メラニンは黒色の色素であるため、たくさん産生されると皮膚は黒っぽくなります。

日差しの強い地域で生活している人の皮膚が黒いのはこのためです。

皮膚に持続的に機械的な刺激が加わると、紫外線を浴びたのと同じようにメラノサイトは「メラニンをたくさん作って、臓器を守らなければ!」と活性化します。

すると刺激を受けた部位でメラニンの産生が増え、皮膚が黒っぽくなります。これが黒皮症が生じる機序です。

更に繰り返し皮膚が刺激され続けると、産生されたメラニンは表皮から真皮に入り込んでしまうのです。

私たちの皮膚は表面から「表皮」「真皮」「皮下組織」という層を形成しています。通常、メラノサイトは表皮に存在し、メラニンも表皮で産生されます。

表皮は一定期間経つとどんどんと新しい皮膚に生まれ変わるというサイクルを持っており、これは「ターンオーバー」と呼ばれます。日焼けによって一時的に皮膚が黒くなっても、ターンオーバーによって一定期間経てば元の皮膚の色に戻ります。

しかし真皮にまでメラニンが入り込んでしまうとそうはいきません。真皮は表皮と異なり、ターンオーバーしていきませんので、真皮に入り込んだメラニンは長期間その部位に居続けてしまうのです。

これが黒皮症が生じる機序と、なかなか黒ずみが消えない理由です。

【黒皮症が生じる原因】

・主にタール系色素を含む化粧品などによる接触性皮膚炎で生じる
・接触性皮膚炎によって、皮膚の角化性丘疹が生じる
・接触性皮膚炎によって本来表皮に存在するはずのメラニンが真皮にまで入り込んでしまう

3.黒皮症の症状

黒皮症にはどのような症状があるのでしょうか。

黒皮症は接触性皮膚炎(いわゆる「かぶれ」)ですので、急性期(原因となる化粧品を塗っている時期)には、顔の刺激感やかゆみが生じます。

それでも使用を続けていると、次第に角化性丘疹と表皮のメラニン増殖と真皮への侵入が生じ、黒ずみが消えにくくなっていきます。

メラニン自体の色は黒いのですが、表皮とその奥の真皮に存在するため色調としては、灰色~褐色に見え、また奥の真皮にあるものは紫っぽく見える事もあります。

黒い色をしているため、「癌(ガン)になるのではないか」と心配される方もいますが、癌化する事はありません。

部位としては、化粧品を塗っている部位であればどこでも生じますが、特に耳の前や側頸部に生じやすいと言われています。

【黒皮症の症状】

・急性期は顔の刺激感やかゆみが生じる
・長期的には皮膚の黒ずみが生じる
・悪性化(癌化)する事はない
・化粧品を塗った部位であればどこでも生じるが、特に耳の前や側頸部に多い

4.黒皮症の治療法

黒皮症は、どのように治療すれば良いのでしょうか。

急性期であれば、原因物質(主に化粧品)を中止する事に尽きます。黒皮症は接触性皮膚炎ですので、原因となる物質を除去すれば皮膚炎は落ち着きます。

皮膚炎の症状が強い場合は、一時的にステロイド外用剤(ステロイドの塗り薬)を用いて炎症を抑えてあげる事もあります。

黒皮症の早期に治療を開始した場合、メラニンが真皮にまで至っていないため、この原因物質の中止だけで皮膚の黒ずみも徐々に改善していく事があります。表皮は約1カ月ほどで生れ変わりますので、中止してから1カ月ほど経てば黒ずみは徐々に消えていきます。

しかし化粧品の塗布を慢性的に行っていて、メラニンが真皮に入り込んでしまっている場合は、いくら原因である化粧品をやめても黒ずみが治らない事もあります。

このような場合はどうすればいいのでしょうか。

Ⅰ.内服薬

黒皮症に有効なお薬もいくつかあります。

とは言っても飲み薬は、劇的な作用は期待できません。

数カ月~数年程度服用を続ける事で、「多少は黒ずみが薄くなってくるかな」という程度の効果です。内服薬はあくまでも補助的なもので、劇的な作用は期待しない方が良いでしょう。

よく用いられるのがビタミン剤です。ビタミン剤の中には皮膚の色素沈着を抑えたり、皮膚の再生を促す作用を持つものもあります。

代表的なものとして、

  • シナール(ビタミンC)
  • フラビタン(ビタミンB2)

などがあります。

ビタミンは食べ物からも摂取できますので、毎日の食事から十分に摂取できていれば、わざわざお薬として服用する必要はありません。しかし食生活のかたよりなどがあり十分に摂取できていないと考えられる時は、補助的に用いられる事があります。

また、

  • トランサミン(一般名:トラネキサム酸)

も穏やかですが効果が期待できます。

トランサミンは本来は止血剤や抗炎症剤として用いられるお薬です。しかしそのような作用だけでなく、プラスミンという物質のはたらきをブロックする事で皮膚の色素沈着を抑える作用もあります。

ただしビタミン剤、トランサミンのいずれも強力な効果を期待できるものではありません。

Ⅱ.美白剤

美白剤と呼ばれる、メラニンの産生を抑えるお薬を使う事もあります。

代表的なものは「ハイドロキノン」と呼ばれるお薬になります。これはチロシナーゼというメラニンを作るために必要な酵素のはたらきをブロックするはたらきを持ちます。

ただしハイドロキノンは新しいメラニンは出来にくくなりますが、すでに真皮に沈着してしまったメラニンを消す作用はないため、ある程度進行している黒皮症には力不足の事もあります。

高濃度のハイドロキノンは発がん性が報告されていたりと副作用の危険もあるため、必ず主治医の指導のもと、使用するようにしましょう。

Ⅲ.レーザー治療

黒皮症に対してはレーザー治療も有効です。

レーザー治療とはレーザー光を当てることで、特定の色調の細胞を破壊する治療法です。

レーザー光は様々な波長のものがあり、波長によって吸収されやすい色調が異なります。

メラニンに吸収されやすい波長のレーザー光を黒皮症に当てると、レーザー光はメラニン色素に吸収されます。そしてメラニンに吸収されたレーザー光の光エネルギーはそこで熱変換され、メラニンを破壊します。

このようにレーザー治療はレーザーがあたった部位の細胞すべてを破壊するのではなく、レーザーがあたった部位のうち、そのレーザーの波長を吸収しやすい細胞だけを破壊する事が出来ます。

これによってメラニンからなる黒皮症を消す事が出来るのです。

実際はターゲットとするメラニンが皮膚のどのくらいの深さに存在しているのか、大きさはどのくらいなのかによって、用いる波長やレーザーを当てる時間は異なってきます。

またいくら局所を狙って照射するとは言っても、多少正常の皮膚にもダメージを与えてしまうため、治療の際には痛みを伴う事もあります。

レーザーは効果の高い治療法ですが、

  • 自費であり料金がかかる事
  • 何回か通う必要がある事
  • 正常皮膚にも多少のダメージを与えるため、軽い痛みを伴う事がある

がデメリットとして挙げられます。

【黒皮症の治療法】

・基本は原因物質(化粧品)の除去。発症早期であればそれだけで治る事も
・急性期は炎症を抑えるためにステロイド外用剤を使う事もある
・ビタミン剤やトランサミンは穏やかに色素沈着を軽減させる作用がある
・ハイドロキノンもメラニンの合成を抑えて黒ずみを軽減させる作用がある
・レーザー照射によってメラニンを破壊するレーザー治療がある

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