表皮の構造と役割【医師が教える皮膚科学】

私たちの皮膚は、

  • 表皮
  • 真皮
  • 皮下組織

という3つの層から作られています。皮膚の下には筋肉や大きな血管・神経、内臓臓器などがあり、皮膚はこれらの臓器を保護するはたらきがあります。

皮膚が荒れたり傷付いたりすると様々な問題が生じます。

スキンケアをしっかりと行いたい方、皮膚疾患で治療中の方は皮膚の構造と機能について詳しく知る事が出来ると、より効率的に皮膚をトラブルから守る事が出来るようになります。

ここでは皮膚のうち、最も外側を覆っている「表皮」について詳しく勉強してみましょう。

1.表皮とは

表皮は私たちの身体を覆っている皮膚のうち、一番外側にある層を指します。

表皮の厚さは0.2mmほどと薄いのですが、私たちの身体を守るために非常に大切な役割を担っています。

表皮の下には真皮(真皮)があり、ここには血管や神経、リンパ管などが通っています。

表皮が荒れたり、薄くなってしまうと真皮が露出してしまいます。真皮には血管や神経が通っているため、この部位が露出してしまうと痛みや出血が生じます。また細菌やウイルスなどの異物も体内に侵入しやすくなってしまうため、感染症のリスクも増大してしまいます。

表皮は、真皮以下にある血管や神経をはじめ内臓臓器を外界から守る重要な役割を担っているのです。

2.表皮の「ターンオーバー」とは

表皮は絶えず「ターンオーバー」を行っています。このターンオーバーは表皮がその機能を維持するために大切な活動です。では、このターンオーバーとは何でしょうか。

表皮は厚さ0.2mmほどの薄い層ですが、表皮も更に、

  • 角質層
  • 顆粒層
  • 有棘層
  • 基底層

という4つの層に分ける事が出来ます。

これらの4つの層はそれぞれ別個に作られるわけではありません。

4つの層のうち、一番内側(内臓側)に存在するのが基底層ですが、表皮の細胞はすべてこの基底層から作られます。表皮の細胞は95%が角化細胞(ケラチノサイト)という細胞になりますが、角化細胞は基底層でが細胞分裂にて新しく作られ、作られた角化細胞は徐々に外側の層に押し上げられていき、その過程で徐々に成熟していきます。

角化細胞は、基底層→有棘層→顆粒層→角質層と上がっていき、最後は垢(あか)となって身体から脱落していくのです。

このような表皮細胞の流れを「ターンオーバー」と呼びます。ターンオーバーを常に行う事により常に新しい角化細胞に入れ替わるため、皮膚は老朽化する事なく機能し続ける事が出来るのです・

ターンオーバーは1周期が約4週間前後と考えられています。分裂して新しく作られた角化細胞は、約4週間ほどで角質層から垢として剥がれ落ちていきます。

3.表皮を構成する4つの層とその役割

表皮は厚さ0.2mmほどの薄い層ですが、表皮も更に4つの層に分ける事が出来ます。

4つの層それぞれの特徴や役割を紹介します。

Ⅰ.基底層

基底層は表皮の4つの層のうち、もっとも内側にある層です。

基底層の役割は、表皮を構成する細胞である角化細胞(ケラチノサイト)を作る事です。元々基底層に存在する角化細胞が細胞分裂をする事で、新しい角化細胞が生まれます。

Ⅱ.有棘層

基底層で作られた角化細胞は、次に有棘層に押し上げられます。

有棘層は、角化細胞同士が棘(とげ)のようなものでつながっているように見えるため、このように呼ばれます。

有棘層に入ると角化細胞はやや扁平に(平べったく)なります。また細胞同士が強く結合する事で皮膚の強度を保つはたらきをします。

有棘層にはランゲルハンス細胞という細胞が存在します。ランゲルハンス細胞は、異物が侵入してくるとそれを速やかに察知し、免疫系(異物を攻撃する生体システム)に情報を送ってくれます。

これにより万が一細菌などの異物が体内に侵入してきても、速やかに対処する事が出来るのです。

有棘層はこのように「異物侵入を感知する層」であるとも言えます。

Ⅲ.顆粒層

顆粒層に来ると、角化細胞は更に扁平になります。顆粒層では、角化細胞の中に顆粒状の物質(オドランド小体)が認められるため、このような名称がつけられています。

この顆粒は脂質が主成分であり、分泌される事で皮膚の強度を高めたり皮膚の保湿作用をもたらします。

Ⅳ.角質層

角質層は、表皮の中でも一番外側の層で、私たちから普段見えている皮膚の表面になります。

角質層の主な役割は「バリア機能」です。外敵(細菌やウイルスなど)が体内に侵入しないように身体を守るはたらきがあります。

また反対に体内の重要な物質(水分や栄養素)が体外に出ていかないようにするはたらきもあります。

角化細胞が角質層まで来ると、更に扁平となり細胞の核もなくなります。平べったくなった角化細胞は何重にも重なり、まるで厚い盾のように表皮を守ります。

角質層より更に押し上げられると、角化細胞は垢となり皮膚から剥がれ落ちていきます。

4.表皮の役割

表皮はどのような役割があるのでしょうか。

主な役割を紹介します。

Ⅰ.バリア機能

表皮の一番重要な役割は、身体を外界から守る防御機能(バリア機能)です。

角化細胞は、基底層で作られてから角質層に押し上げられるまでのターンオーバーの過程で徐々に扁平(平べったくなる事)になっていきます。角質では平べったくなった角化細胞が何重にも重なっていますが、これは「盾」のように外からのダメージから身体を守るはたらきがあります。

また表皮の表面には皮脂(あぶら)の膜が張られています。これも外敵が容易に体内に侵入しないための盾となっています。

表皮内の有棘層にはランゲルハンス細胞という、異物の侵入を感知する細胞があります。万が一バリア機能をかいくぐって異物が表皮内に侵入してしまっても、ランゲルハンス細胞が速やかにそれを感知するため、すぐに異物を攻撃するという反応が取れるのです。

Ⅱ.重要な物質が出ていかないようにする

表皮は外界から身体を守るはたらきと反対に、身体の中の物質が外に出て行ってしまわないようにするはたらきもあります。

例えば全身熱傷で広い範囲の表皮が欠損してしまうと、血液や水分がどんどんと身体から抜けていってしまいます。この状態は非常に危険で、適切な治療を行わないとすぐに水分や血液が失われ、失血死に至ってしまいます。

表皮がある事でこのような状態を防ぐ事が出来るのです。

皮膚は身体にとって重要な物質を体内にとどめておくはたらきもあるのです。

Ⅲ.紫外線防御機能

表皮は紫外線から身体を守るはたらきもあります。

表皮の基底層には「メラノサイト(色素細胞)」という細胞があります。メラノサイトはメラニンという色素を合成します。メラニンは紫外線を防御するはたらきがあり、紫外線によって身体が傷付いたり癌化するのを防いでくれます。

実際、表皮にメラニンが多い黒色人種の方ほど皮膚がんの発生が少ない事が分かっています。

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