エクリン腺って何?汗腺の役割とアポクリン腺との違いについて

運動したり、緊張すると汗をかきます。また日中や睡眠中にも実は私たちはたくさんの汗をかいています。

汗の一粒一粒はわずかな量に過ぎませんが、私たちが1日にかく汗の量を合計すると700~900mlほどにもなると言われています。

汗は汗腺(かんせん)という部位から分泌され、汗腺には「エクリン汗腺」と「アポクリン汗腺」の2つがあります。

汗は身体が正常に機能するために重要な役割を担っていますが、それぞれの汗腺は具体的にどのような役割があるのでしょうか。

今日は汗腺の中でも「エクリン腺」について詳しくみていきましょう。

1.エクリン腺とアポクリン腺

私たちの皮膚には「汗腺(かんせん)」という汗を分泌する腺があります。

汗腺には「エクリン腺」と「アポクリン腺」の2つがあります。それぞれの汗腺の特徴と役割について紹介します。

Ⅰ.エクリン腺

エクリン腺は全身の皮膚に幅広く存在する汗腺です。小さな汗腺であり、「小汗腺」とも呼ばれます。

エクリン腺は全身に存在しているのが特徴です。口唇・陰茎・陰唇・爪などにはありませんが、それ以外の部位にはあります。

エクリン腺が、特に多い部位としては、

  • 手のひら(手掌)
  • 足の裏(足底)
  • 脇(腋窩)

などが挙げられます。これらの部位は実際に汗をかきやすい部位ですね。私たちの身体には合計すると約300万個ものエクリン汗腺があります。

エクリン汗腺の役割は「体温調整」で、体温を下げるために汗を分泌します。水分は蒸発する時に周りの熱を奪う事が知られており、汗はこれを利用して体温を下げます。

エクリン汗腺は体温を下げるために水分を蒸発させるのが狙いですので、分泌される汗は水分が多く、漿液性(サラサラ)になります。

Ⅱ.アポクリン腺

アポクリン腺は、身体の特定の部位に限局して存在する汗腺です。エクリン腺と比べて大きな汗腺であり「大汗腺」とも呼ばれます。

存在している部位としては、

  • 脇(腋窩)
  • 外耳道
  • 乳輪
  • 外陰部
  • 肛門

などに限られます。

アポクリン腺は毛が生える部位に存在するのが特徴です。これはアポクリン腺が皮膚に直接分泌されるのではなく、毛孔(毛穴)につながっており、毛穴から皮膚に分泌されるためです。

アポクリン腺は哺乳類に認められる「芳香腺」が退化したものです。芳香腺は動物が異性を引き付ける匂い(フェロモン)を分泌する腺です。そのため、性ホルモンの分泌が活発になる思春期で特に分泌量が増えます。

アポクリン腺から分泌される液はフェロモンですので、動物においては異性を引き付けるという役割がありますが、現代のヒトにおいてはあまり実質的な役割はありません。

アポクリン腺から分泌される汗は脂質やたんぱく質を多く含み、エクリン腺の汗よりも粘性(ネバネバ)となります。また汗そのものは無臭ですが、分泌された汗の中に含まれる脂質やたんぱく質が皮膚の常在菌に分解され、この時に臭いを発するようになります。

ワキガ(腋臭症)などで強い臭いが生じてしまうのは、このアポクリン腺から分泌される汗が原因になります。

2.エクリン腺の役割

エクリン腺は、どのような役割があるのでしょうか。

エクリン腺は水分に富む漿液性の汗を分泌し、その役割は「体温調節」になります。体温が上がりすぎてしまった時、汗を分泌する事で体温を適正に下げてくれます。

体温が高くなりすぎてしまうと、生命活動を行うために必要な酵素の活性が低下してしまいます。酵素のようなたんぱく質は高温環境下では変性してしまい、効果を発揮できなくなってしまうのです。これでは困るため、汗量を増やすことで体温を適切に下げているのです。

汗腺は分泌部と汗管から成り、分泌部から汗が分泌され、汗管を通って皮膚の表面に出てきます。皮膚に出た汗はしばらくすると蒸発しますが、水分は蒸発する際に回りの熱を奪う事が知られています。これを「気化熱」と呼びます。

汗は蒸発する際に皮膚の熱を奪うため、その分だけ体温が下がります。これが汗が体温を下げる機序になります。

私たちが暑い時に汗をかくのは、このように上昇してしまった身体の体温を下げるためなのです。

ちなみに暑くない時でも私たちは汗をかくことがありますね。例えば緊張した時などは汗が出てきます。これはなぜでしょうか。

これは自律神経のバランスが一時的に乱れるために生じる現象だと考えられています。

汗は自律神経によって分泌が調整されています。自律神経とは、自分で意識しなくても自律的に状況を感知して適切に働いてくれる神経の事です。

私たちは普段意識しなくても、身体は勝手に色々な活動をしてくれています。例えば意識しなくても心臓は勝手に拍動してくれます。意識しなくても勝手に呼吸をしてくれます。なぜ勝手に適切に動いてくれるのかというと、自律神経が適切に調整して自律して働いてくれているからなのです。

同じように汗も、自分で意識して出そうと思っても出るものではありません。状況に応じて適切に自動的に分泌されています。これも心臓や呼吸と同じく自律神経によって調整されているのです。

そしてこの自律神経は、過度のストレスがかかるとバランスが崩れてしまう傾向があります。強い緊張で汗が出るのは、体温を下げようとしているわけではなく、汗の分泌をコントロールしている自律神経のバランスが崩れた結果生じているのです。

その証拠に緊張すると汗がダラダラ出る事もありますが、反対に汗が引いてしまう事もあります。

また自律神経のバランスが本格的に崩れてしまった状態である「自律神経失調症」でも高い頻度で発汗や寝汗などが認められます。

3.エクリン腺からの汗量が多い時の対処法は?

エクリン腺は汗を分泌して、体温を適切に調整するという役割があります。汗をかくというのはとても意味のある現象だという事が分かって頂けたのではないでしょうか。

しかし世の中には、汗が出すぎてしまう事で困っている方もいます。エクリン腺からの汗量が多い状態は「多汗症」「汗っかき」などと呼ばれたりもし、無臭の漿液性(サラサラ)の汗が大量に分泌されてしまいます。

適正に汗が出るのは大切な事です。しかしこのように汗が出過ぎる場合、何か有効な対処法はあるのでしょうか。汗が出すぎてしまう原因とそれに応じた対処法を考えてみましょう。

Ⅰ.温度を適切に調整する

エクリン腺から汗が分泌される目的は「体温調節」で、高すぎる体温を下げる事です。

つまりエクリン腺からの汗の量が多いのは、身体が「体温が高すぎる」と判断してしまっているという事になります。

汗が多くて困っているという方は。実際に生活している温度が適正なのかを見直してみましょう。

  • 部屋の室温は適正ですか?
  • 服装は季節に合っていますか?
  • 風通しのよい服を着ていますか?(特に夏場)
  • 布団は季節に合ったものを使っていますか?

体感温度が暑すぎるような環境であれば、汗の量が多くなってしまうのは当然です。

まずは日々の生活の中での温度が適正なのかを見直してみましょう。

Ⅱ.自律神経を整える

温度が適正なのに汗の量が多くなってしいまっている場合、汗の分泌をコントロールしている自律神経のバランスが崩れている可能性も考えられます。

自律神経は、ストレスや生活習慣の乱れが続くと崩れやすくなります。このような場合は、自律神経を整えるような生活を意識するようにしましょう。

自律神経を整えるような生活として、

  • 規則正しい生活をする
  • 適度な運動をする
  • ぬるめのお風呂でゆっくり入浴する
  • ストレスを溜め込みすぎない(適度に発散する)

などが挙げられます。

また、これらの工夫をしても自律神経の崩れが改善されない場合は、

  • うつ病
  • 不安障害
  • 自律神経失調症、心身症

などといったこころの疾患を発症してしまっている可能性も考えられます。この場合はお薬による治療が必要になる事もありますので、一度精神科・心療内科でご相談される事をお勧めします。

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