睡眠中にこむら返りが生じる原因と予防法

こむら返り(calf cramp)は、突然にふくらはぎの筋肉(腓腹筋)のけいれんが起こり、強い痛みが生じる疾患です。

これは患者さんにとって非常に不快でつらい症状になります。

こむら返りの特徴として、睡眠中に生じやすい事が知られています。寝ている時に突然足がつり、痛み・苦痛とともに目覚めます。

こむら返りは何故、睡眠中に生じるのでしょうか。また睡眠中の発症を予防する方法はあるのでしょうか。

ここでは睡眠中に生じるこむら返りの原因や予防法についてお話させていただきます。

1.こむら返りとは

こむら返り(calf cramp)は、正確には「腓腹筋痙攣(ひふくきんけいれん)」という疾患名になります。

なぜ「こむら返り」という名前なのかというと、ふくらはぎは腓(こむら)とも呼ばれるため、ふくらはぎがつる事を「こむら返り」と呼ぶようになったそうです。

こむら返りでは非常に強い痛みが生じますが、これは腓腹筋(いわゆる「ふくらはぎ」)がけいれんする事で筋肉が強く収縮するためです。

強い収縮によってふくらはぎの筋肉の一部は破壊されるため、けいれんがが治まってもにぶい痛みは数日ほど続きます。

こむら返りは通常、発症する前にふくらはぎの違和感などの前兆が生じますが、睡眠中に生じる場合は当然、前兆を感じる事は出来ません。

この場合、気持ちよく寝ている時、急に足を激痛が襲ってくるわけですので、これは非常に不快な症状になります。こむら返りを繰り返すようになってしまうと、「寝るのが怖い」と悩まれる方もいらっしゃるほどです。

2.こむら返りはなぜ睡眠中に生じるのか

こむら返りはなぜ、睡眠中に生じやすいのでしょうか。

これは睡眠中というのは、こむら返りが生じやすい環境が作られやすいためです。

こむら返りを発症する原因はいくつかあります。これについて詳しくは「こむら返りはどのような原因で生じるのか」で説明しています。

簡単にまとめると、

  • 加齢
  • 妊婦
  • 激しい運動後の筋肉の疲労
  • 脱水
  • 電解質の崩れ
  • 冷えによる血行不良

などがこむら返りを発症させやすくする原因でした。

このうち、睡眠中というのは、

  • 冷えによる血行不良
  • 脱水

が生じやすく、そのためにこむら返りが発症しやすいと考えられています。

こむら返りは寝ている時の中でも明け方(早朝)に生じやすい事が知られています。睡眠の終わりごろというのは一番身体が冷えやすく、水分も失われている時なのです。

それぞれ詳しく説明します。

Ⅰ.冷えによる血行不良

筋肉に十分な血液が送られないと、筋肉が十分に活動できなくなるためけいれんしやすくなります。

そして私たちの身体の血液の流れは、暖かいと良くなり、寒いと悪くなります。

つまり、気温が低い(寒い)と、筋肉はけいれんしやすくなるという事です。

では1日の中でもっとも気温が低くなる時間帯というのはいつでしょうか。

それは早朝です。季節によって多少変わりますが、早朝の4時から6時頃が1日の中でもっとも気温が低い時間になります。

早朝に足の血流が悪くなっている時に、寝相などでふくらはぎの筋肉を動かしたりすると、異常な収縮(こむら返り)が発症してしまうのです。

Ⅱ.脱水

身体の中の水分が少なくなると、筋肉が十分な活動を出来なくなるほか、電解質(ミネラル)のバランスも崩れるため、こむら返りが生じやすくなります。

実は睡眠中というのは、水分がたくさん失われている事をご存知でしょうか。

個人差もありますが、成人が一晩の睡眠中にかく汗の量は200mlほどになります。睡眠中は水を飲んだり出来ないわけですから、睡眠中は徐々に脱水が進行していく事になります。

では睡眠中にもっとも脱水になっているのはいつでしょうか。

それは起床直前の明け方になります。

早朝にこむら返りが生じやすいのは、明け方にもっとも身体の水分が失われた状態になっているためです。

3.睡眠中のこむら返りを予防する方法

こむら返りはいつ発症しても不快ですが、中でも睡眠中の発症は極めて不快なものです。

このような睡眠中のこむら返りは、予防する事はできないのでしょうか。

睡眠中のこむら返りを予防するために有効な方法を紹介します。

Ⅰ.部屋を暖かくする

睡眠中のこむら返りが生じる原因の1つは、冷えによる血行不良でした。

という事は、足の冷えを予防できればこむら返りも起こりにくくなるという事になります。

寝室にエアコンがあるのであれば、早朝の一番寒くなる時間帯に暖房がつくようにセットしておいてもいいでしょう。

注意点として暖房によって部屋が乾燥してしまうと、冷えは改善しても脱水が進行してしまいますので、加湿器なども併用すると効果的です。

また自分以外にも寝室を使っている方がいて、自由に室温を調整できないという場合は、足だけを暖める工夫も有効です。

レッグウォーマーを付けて眠る事で、ふくらはぎの冷えを予防する事が出来ます。

Ⅱ.寝る前に水分を取る

明け方に脱水状態になっている事がこむら返りの原因である事もあります。

このような場合は、脱水を予防する事がこむら返りの予防になります。

とは言っても寝ている時に水を飲む事は出来ませんね。

ではどうすればいいのかというと、

  • 寝る前にコップ1杯(120~200ml程度)の水分を取る
  • 睡眠中になるべく水分が失われないようにする

という方法が有効になります。

睡眠中に失われる水分量は約200mlほどですので、眠る前にそのくらいの水分を摂取するようにしましょう。

注意点として、水分を取れば取るほど良いというものではありません。寝る前に大量の水分を取ってしまうと、こむら返りは予防できますが、夜に何度もトイレに起きる事となり、睡眠の質が低下してしまいます。

コップ1杯程度であれば、そこまで夜のトイレの原因にもならないため、このくらいの量を目安に摂取するようにしましょう。

また睡眠中になるべく身体から水分が失われないようにするためには、寝室を適度に加湿する事が有効です。

加湿器などを上手に利用して脱水を起こさないようにしましょう。

Ⅲ.寝る前に足のストレッチをする

眠る前には10分ほどふくらはぎを伸ばしましょう。

こむら返りが生じる部位であるふくらはぎを十分の伸ばす事で、ふくらはぎの筋肉が異常収縮させにくくする事が出来ます。

ストレッチで伸ばすほか、自分で手で適度にもみほぐす事も有効です。

Ⅳ.お薬を利用する

上記の方法でも睡眠中のこむら返りが改善しない場合は、お薬を使うのも方法です。

こむら返りを抑えるお薬やサプリメントは多く発売されていますが、医師として一番有効だと感じるのはやはり「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」です。

芍薬甘草湯は、筋肉細胞内のカルシウム、カリウムといった電解質のバランスを整える事でこむら返りを起こしにくくする作用があり、臨床でしばしば処方しますが、患者さんの反応はまずまず良好です。

夜間にしか発症しないのであれば、寝る前に1包服用すればよいでしょう。

芍薬甘草湯は病院で医師の診察を受けて処方してもらえるほか、薬局で購入する事も出来ます。

ただし人によっては芍薬甘草湯が使えない方もいますので、心配な方は病院を受診し、医師の判断をもらってから使用するほうが良いでしょう。

Ⅴ.それでも改善しない場合は病院を受診する

それでもこむら返りが改善しない場合は、病院を受診しましょう。

その理由として、こむら返りはある疾患が背景に存在していて、その症状として出現する事もあるからです。

例えば、

  • 糖尿病
  • 肝硬変
  • 腎不全
  • 甲状腺機能低下症
  • 神経根障害(腰部脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニアなど)
  • 脳血管障害後遺症
  • 閉塞性動脈硬化症
  • 多発性筋炎

などの疾患は、時にこむら返りを起こす事があります。

日常生活の工夫で治らないこむら返りは、このような疾患が原因である事がありますので、病院を受診し、診察や検査を受けてください。

受診する科としては「内科(一般内科)」が良いでしょう。

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