ブレーデンスケールって何?褥瘡リスクの評価法

褥瘡(じょくそう)は、主に寝たきり状態の方に生じる皮膚疾患です。

長時間皮膚が圧迫される事によってその部位の血流障害・物理的ダメージなどが生じ、皮膚の損傷が生じます。そのため褥瘡は主に背中やお尻、かかとなど、圧迫される事の多い部位に生じやすい傾向があります。

軽いものだと皮膚が赤くなる程度ですが、ひどいものだと筋肉や腱まで露出してしまう褥瘡もあります。

褥瘡は治療も大切ですが何よりも予防が大切で、褥瘡が出来てから慌てるのではなく「褥瘡が出来ないようにする」事が何より重要です。

褥瘡の発生リスクを評価する方法の1つとして「ブレーデンスケール」というものがあります。

これは皮膚の状態を点数化し、点数が低いほど褥瘡発生リスクが高いと判断できる方法です。簡便に出来るため、医師のみならず看護師にもよく用いられています。

ではブレーデンスケールはどのように褥瘡発生リスクを評価する方法なのでしょうか。また寝たきり状態の方に対してどのように用いれば良いのでしょうか。

ここではブレーデンスケールについて詳しく説明させて頂きます。

1.ブレーデンスケールとは

ブレーデンスケール(Braden Scale)とは、どのようなものなのでしょうか。

これは褥瘡の発生リスクを点数化する方法になります。

例えば、脳梗塞で寝たきり状態になってしまった方のケアをしていると、「この患者さんは褥瘡が出来やすそうだ」と心配になります。

この時、感覚的に「褥瘡が出来そうだなぁ」と評価するのではなく、この患者さんの褥瘡発生のリスクはどのくらいなのかを数値として算出する方法の1つがブレーデンスケールです。

とは言っても難しい算出法ではありません。日常のケアの中で簡単に算出できます。

ブレーデンスケールによって褥瘡の発症しやすさを数値化する事で、その点数に応じた適切な褥瘡予防対策を取れるようになります。

褥瘡は何よりも予防が重要です。なぜならば褥瘡は治すのがなかなか難しい疾患だからです。

褥瘡は皮膚が長時間圧迫される事によって生じます。長時間圧迫されると皮膚が障害される他、血流も悪化するため、皮膚に炎症や壊死が生じやすく、これによって褥瘡が発生してしまうのです。

褥瘡の治療の原則は、圧迫を解除する事です。長時間の圧迫が原因なのですから圧迫をやめるのは基本になります。

しかしこれが難しいのです。そもそも褥瘡は寝たきり状態の方に多く発症します。寝たきり状態の方は常に寝ている状態であるため、皮膚の一部は必ず圧迫されてしまっているわけです。

頻回に体位を変える事で長時間同じ部位が圧迫され続けるという事は避けられますが、皮膚の圧迫自体は避ける事が出来ません。

更に寝たきり状態の方は、栄養状態もあまり良くない事が多いです。栄養がしっかりと取れていないと傷はなかなかよくなりません。このような理由でも褥瘡は発生すると治りにくいのです。

また褥瘡は臀部(お尻)などに好発しますが、寝たきり状態の方は排泄をオムツで行う事も多く、こうなると尿や便をすると褥瘡にそれがついてしまいます。尿は傷口を刺激しますし、便にも細菌がついてますから傷口に入ってしまうと感染を引き起こす可能性があります。

褥瘡は一度発症してしまうと、このような不利な状況で治療していかないといけないため、なかなか大変なのです。

そのため繰り返しますが、「予防」が何よりも重要です。

そして褥瘡を予防するために、その発症リスクを数値として評価できるブレーデンスケールはとても有効な指標になります。

2.ブレーデンスケールの使い方

ではブレーデンスケールは、どのように使えばいいのでしょうか。

ブレーデンスケールは患者さんの皮膚に対して、6つの項目をそれぞれ4段階で評価します。

その6つの項目とは、

  • 皮膚の知覚
  • 皮膚の湿潤(皮膚の浸軟状態)
  • 患者さんの活動性
  • 患者さんの可動性
  • 患者さんの栄養状態
  • 摩擦と床ずれ

です。

この6つの状態をそれぞれ4段階で評価します(最後の「摩擦と床ずれ」は3段階で評価します)。

最高点は23点であり、点数が低いほどその患者さんに褥瘡が発生するリスクは高いと考えられます。

具体的には、

  • 在宅や施設では17点以下だと褥瘡発生の危険あり
  • 病院では14点以下だと褥瘡発生の危険あり

と評価されています。

ではそれぞれの項目をどのように4段階に評価すればいいのかを見ていきましょう。

Ⅰ.皮膚の知覚

「皮膚の知覚」は、皮膚が圧迫されている事を患者さん自身がきちんと認識する事が出来るかを評価する項目です。

褥瘡は皮膚が圧迫されて生じますが、皮膚が圧迫されてすぐに生じるわけではありません。

例えば健常な人も一定期間同じ部位が圧迫され続ける事はあります。しかし、圧迫が長時間続くと痛みやしびれなどの不快感が生じるため、圧迫を解除する行動をとり、褥瘡が出来る事はありません。

例えば事務仕事で一日中イスに座っていたらお尻が痛くなりますが、痛みやしびれが生じたら休憩したり座りなおしたりして無意識のうちに対策を取っているわけです。

褥瘡が出来やすい方というのは、知覚が低下(あるいは消失)しているため、この対策が取れない方が多く、このような場合は発症のリスクになります。

Ⅱ.皮膚の湿潤(皮膚の浸軟状態)

「皮膚の湿潤」は、皮膚が汗や尿などによってどのくらい湿っているかという項目です。

湿った皮膚が圧迫されるのと、乾燥した皮膚が圧迫されるのとでは、湿った皮膚の方が褥瘡が発症しやすくなります。

そのためオムツに排尿している方で皮膚の尿汚染リスクがある方であったり、発汗が多いような方は褥瘡発症リスクは高くなると考えられます。

Ⅲ.患者さんの活動性

「活動性」は患者さんがどのくらい自分で動ける方なのかを評価する項目です。

活動性が高ければ高いほど、皮膚が圧迫されるリスクは低くなります。いつも動き回っている方と、常に寝たきりの方の皮膚のどちらが圧迫されているかといえば明らかに後者ですよね。

患者さんが自分で歩ける、動けるという事はそれ自体が褥瘡のリスクを低下させてくれるのです。

Ⅳ.患者さんの可動性

「可動性」も患者さんがどのくらい自分で動ける方なのかを評価する項目です。

前項の「活動性」と似ていますが、活動性はベッドから離れて歩いたり座ったりする動作が該当しますが、可動性はベッドで寝ている状態で自分でどのくらい体位を変えられるかを見る項目になります。

ベッドに寝ている状態で、自分で自由に体位を変えられるのか、それとも誰かの力を借りないと寝返りも打てないのかで褥瘡発生のリスクは大きく変わってきます。

Ⅴ.患者さんの栄養状態

「栄養状態」は、食事をしっかりと摂取できているのかを評価する項目です。

食事から栄養を取る事で、皮膚を構成する細胞や組織が新しく作られます。反対に栄養を取っていなければ新しい細胞・組織が作られにくくなるため、古くてもろい細胞が多くなり、褥瘡も発生しやすくなります。

Ⅵ.摩擦と床ずれ

皮膚と床・ベッドに摩擦が生じれば生じるほど、皮膚が障害され褥瘡が生じやすくなります。

例えばベッドから起き上がる時、自力でスムーズに起き上がる事が出来れば摩擦はほとんど生じないでしょう。

しかし誰かに持ち上げて起こしてもらう場合はある程度の摩擦が生じてしまいます。

また疾患の症状として痙攣(けいれん)などの身体の動きが多ければ、これも摩擦を引き起こし褥瘡発生のリスクとなります。

3.ブレーデンスケールを使ってみよう

では実際にブレーデンスケールを使ってみましょう。

ブレーデンスケールの各項目と点数を表にすると次のようになります。

1点 2点 3点 4点
知覚の認知 知覚なし 重度の障害 軽度の障害 障害なし
皮膚の湿潤 常に湿っている たいてい湿っている 時々湿っている 滅多に湿ってない
活動性 臥床 坐位可能 時々歩行可能 歩行可能
可動性 全く体動なし 非常に限られる やや限られる 自由に体動する
栄養状態 不良 やや不良 良好 非常に良好
摩擦と床ずれ 問題あり 潜在的に問題あり 問題なし

実際に点数を算出できるツールも用意しましたのでぜひ利用してみてください。

在宅・施設に居住の方:17点以下で褥瘡発生のリスクあり
病院に入院中の方:14点以下で褥瘡発生の危険あり

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