ビオー呼吸ってどんな呼吸!?この呼吸が意味する事と取るべき対処法

呼吸は、身体に酸素を取り込み、身体から二酸化炭素を排出するために行われる行為です。

酸素は生体活動を行うために必要な物質です。私たちの身体は酸素を利用する事で栄養素から効率的にエネルギーを取り出す事ができ、そのエネルギーを元に日々活動をしてします。つまり、呼吸をする事は生きるために必要な行為だという事が出来ます。

通常、呼吸は一定のリズム・一定の深さで行われており、これによって効率的に酸素を取り込み二酸化炭素を排出しています。

もしこの呼吸の回数・深さに異常が生じてしまうと、生命維持に必要な酸素の取り込みが十分に出来なくなってしまうため、これは大きな問題となります。

そのため呼吸の異常というのは発見したら早期に原因を突き止め、適切な対策を取らないといけません。

呼吸の異常の1つに「ビオー呼吸」という呼吸があります。

この呼吸はどのような状態で見られるのでしょうか。またビオー呼吸が認められたら、どのような状態を考え、どのような対処を取るべきなのでしょうか。

ここではビオー呼吸について詳しく説明させていただきます。

1.ビオー呼吸とは

ビオー呼吸(Biot’s Respiration)は異常な呼吸状態の1つです。患者さんがある状態になると生じる呼吸ですが、早急な対策が必要になる重篤な呼吸状態になります。

ビオー呼吸は、フランスの医師であるカミーユ・ビオーが発見した事からこのように名づけられています。

ではビオー呼吸はどのような呼吸なのでしょうか。

ビオー呼吸は、『無呼吸と不規則な呼吸を繰り返す呼吸』です。

突然息が止まり、無呼吸が10~30秒ほど続いた後、今度は不規則な呼吸が現れます。深かったり浅かったり、また速度も速かったり遅かったりで規則性のない呼吸が30秒~数分続き、そしてまた少しすると突然息が止まり、無呼吸になります。

ビオー呼吸は、そのまま呼吸が止まってしまう事もある重篤な異常です。

日常ではほとんど目にする事はありませんが、疾患の治療中にビオー呼吸が認められたら、迅速に適切な対策を行う必要があります。

2.ビオー呼吸が生じる機序

ビオー呼吸はどうして生じるのでしょうか。

ビオー呼吸は、脳幹に障害がある時に生じる呼吸です。

脳幹の「延髄」と「橋」という部位には「呼吸中枢」があります。呼吸中枢は呼吸をコントロールしている部位であり、呼吸中枢のおかげで私たちは効率的に酸素を取り込めるような呼吸が出来ています。

呼吸中枢は、酸素がどれくらい必要なのかによって呼吸回数や呼吸の深さを調整しています。例えば走ったりしてたくさんの酸素が必要になると、より多くの酸素を取り込めるように呼吸回数が自然と増えますが、これも呼吸中枢が上手にコントロールしてくれているおかげなのです。

ではこの呼吸中枢が障害されるとどうなってしまうでしょうか。

呼吸中枢が正常にはたらけなくなると、呼吸中枢は適切な呼吸を行う指令が出せなくなってしまいます。

その結果、無呼吸になったり、浅い呼吸になったり、深い呼吸になったり、速い呼吸になったり、遅い呼吸になったりと呼吸が不規則になってしまうのです。また呼吸中枢の障害が高度となれば呼吸自体が止まってしまうこともあります。

これがビオー呼吸です。

つまりビオー呼吸が生じているという事は、「呼吸中枢が存在する脳幹がダメージを受けている状態」だという事が出来ます。

脳幹というのは呼吸中枢の他、様々な中枢が存在する部位で生命を維持するのに必須の臓器です。ビオー呼吸を放置するという事は脳幹がダメージを受けているのを放置するという事であり、これは極めて危険になります。

ビオー呼吸が生じたら、原則として早急な対処が必要になります。

3.ビオー呼吸はどのような時に現れるのか

ビオー呼吸は、脳幹がダメージを受けている時に認められる呼吸です。

ではより具体的にいうと、ビオー呼吸はどのような疾患で生じるのでしょうか。

基本的には脳の疾患になりますが、脳幹にダメージが生じてビオー呼吸が生じる代表的な疾患を紹介します。

Ⅰ.髄膜炎・脳炎

脳を覆っている髄膜に炎症が生じる疾患を「髄膜炎」と呼びます。また脳自体に炎症が生じる疾患は脳炎と呼ばれます。

主に細菌やウイルスが中枢神経にまで侵入する事で生じる他、薬剤などが原因となる事もあります。

髄膜や脳に炎症が生じ、それが脳幹にまで波及すると呼吸中枢が障害を受ける事があります。

また脳組織が炎症によって腫脹すると、頭蓋内圧は亢進してしまいます。脳は頭蓋骨にしっかりと覆われているため、内圧が高まると圧の逃げ場がありません。そのため、脳が腫れて脳容積が増大してしまうとその分ダイレクトに頭蓋内圧が上がってしまうのです。

これによって脳幹が圧迫されると同じく呼吸中枢が障害されます。

Ⅱ.脳腫瘍

脳に腫瘍が出来てしまい、腫瘍が増大していくと前項と同様に頭蓋内圧は亢進します。

頭蓋内圧が亢進すると脳幹は圧迫されますので、脳しゅようでも呼吸中枢が障害されてビオー呼吸が認められる事があります。

Ⅲ.脳外傷

交通事故や高所からの転落などで頭部に外傷が生じると、ビオー呼吸が生じる事があります。

これは脳幹自体が損傷されて生じる事もありますし、脳の他の部位の受傷によって炎症が生じ、脳の腫脹によって頭蓋内圧が亢進して生じる事もあります。

Ⅳ.脳梗塞・脳出血

脳の中を走っている血管が詰まってしまう疾患が脳梗塞です。また脳の中を走っている血管が破裂してしまうのが脳出血です。

いずれも脳のあらゆる部位に生じる可能性がありますが、脳幹に梗塞・出血が生じると呼吸中枢が障害されるためビオー呼吸が生じる事があります。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする