銀皮症が生じる原因と治療法

銀皮症(Argyria)は、銀が含まれる物質を摂取してしまう事によって皮膚に銀が沈着してしまう疾患です。

皮膚に銀が沈着すると青灰色を呈します。銀の沈着は顔や腕などの目立つ部位に生じやすいため、銀皮症の方はしばしば気味悪がられてしまったり偏見を持たれたりしてしまいがちです。

幸いにも近年ではお薬や体内に用いる医療器具に銀を使う事が少なくなったため、銀皮症の患者さんはほとんど見なくなりました。

皮膚の色が変色してしまうと、「変な病気にかかったのではないか」と心配される方もいらっしゃいます。もちろん銀皮症は疾患ではありますが、人にうつるような疾患ではなく、また悪性化する疾患でもありません。

しかし、このような皮膚の色の変化はなぜ生じるのでしょうか。また皮膚の変色を治す方法はあるのでしょうか。

ここでは銀皮症について、その原因や治療法についてお話させていただきます。

1.銀皮症とは

銀皮症(Argyria)は、通常は肌色であるはずの皮膚の色が、青灰色に変色してしまう疾患です。

なぜこのような皮膚の色の変化が生じるのでしょうか。

銀皮症の皮膚色の変化は、疾患名からも分かるように「銀」が原因です。ある程度の量の銀が体内に取り込まれてしまうと、銀は皮膚に沈着してしまうのです。

実は銀は以前はお薬の成分や医療用具によく使われていました。最近では少なくなりましたが、昔は「銀を摂取する」という事は行われていた事だったのです。

銀は殺菌作用や保存効果がある事が古来より知られていました。この作用を狙って「毒消し」「保存料」などとして使われていたのです。

例えば「仁丹(じんたん)」というお薬を聞いた事はないでしょうか。仁丹は清涼剤ですが、昔は丸薬の表面は銀でコーティングされていました。

もちろん現在の仁丹に銀は使われていませんが、当時は口腔内の殺菌作用を狙っていたそうです。仁丹を過剰に摂取する事で銀皮症が発症したという報告もあります。

また皮膚の傷に殺菌作用のある硝酸銀を用いたり、鍼治療で銀針を用いて治療を行ったりすることでの銀皮症が発症したという報告もあります。

銀皮症は皮膚が青灰色になるという症状をきたします。この色はかなり独特の色で、(患者様には大変失礼ですが)、映画に出てくるゾンビの皮膚色と似ています。

特に日光に当たる場所に銀は沈着しやすいため、顔や手といった目立つ部位が変色します。すると、とても目立つ外観となってしまうため、しばしば偏見や差別の原因となってしまう事があります。

しかし銀皮症は皮膚の色こそ変色してしまいますが、人にうつったり、癌化したりするものではなく、特に何の害もきたさない疾患です。

有効な治療法は特にありませんが、日光に当たるとより症状が顕著になりやすいため、なるべく日光に当たらない事が推奨されています。

またレーザー治療が有効であったとの報告がありますが、銀皮症の患者さんは現在では極めてまれですので、その有効性がしっかりと確立されているというわけではありません。

2.銀皮症の原因は?

銀皮症はどのような原因で生じるのでしょうか。

銀皮症は体内に銀が蓄積されてしまう事が原因です。体内に取り込まれた銀は、皮膚に沈着してしまうため、これによって皮膚の色が変色するのです。

古来から銀には殺菌作用や保存効果がある事が知られていました。そのため、医薬品として使われたり、食べ物を長く保存するために使われたりしていました。

殺菌作用を期待して「毒消し」として銀製剤を使っていた時代もあるようです。また服用する以外にも鍼治療に銀を用いたり、歯科口腔領域の治療に銀を用いたりしていたこともありました。

もちろん少量の銀を摂取した程度であれば、それだけですぐに皮膚に銀が沈着する事はありません。

しかしある程度の量の銀が体内に入ってしまうと、過剰になった銀は皮膚に沈着してしまいます。その結果、皮膚を青灰色に変色させてしまうのです。

以前は医薬品や医療器具に銀が使われていましたが、銀皮症が知られるようになってからは体内に吸収される可能性のあるものに関してはなるべく銀が配合されないように工夫されています。

このような経緯もあって、現在では銀皮症はほとんど見かける事がなくなりました。

【銀皮症が生じる原因】

・銀を含むお薬や体内に留置する医療器具によって体内に銀が蓄積する事で生じる
・ある程度の量の銀が体内に入ると、皮膚に銀が沈着してしまう事で生じる

3.銀皮症にはどのような症状があるのか

銀皮症にはどのような症状があるのでしょうか。何か困るような症状は認められるのでしょうか。

結論から言えば、銀皮症では特に有害な症状はきたしません。唯一の症状は「皮膚が青灰色に変色してしまう」という美容的な症状です。

ちなみにこの皮膚の変色は日光暴露部に生じやすい事が知られています。これは「日光が当たりやすい部位」という事です。

具体的に言うと

などが好発部位になります。

これらは目立つ部位ですので、銀皮症による皮膚の変色は周囲に隠す事が困難です。

顔が青灰色になると、顔色がすごく悪く見えます。大変失礼な言い方ですが、映画で出てくる「ゾンビ」のような顔色になるため、周囲に気味悪がられたり、偏見を持たれたりという事も少なくありません。

しかしこの皮膚の変色によって皮膚に痛みやかゆみなどの症状が生じたり、癌化したりなどといった事はありませんし、当然、他者にうつるようなものでもありません。

銀皮症では皮膚は青灰色に変色しますが、それ以外の症状は何もないのです。

【銀皮症の症状】

・皮膚の色が青灰色に変色するが、それ以外に何らかの症状が生じる事はない
・皮膚の変色は日光暴露部に生じやすい
・特徴的な皮膚の変色が生じるため、周囲から気味悪がられたり、偏見を持たれたりする事も多い

4.銀皮症の治療法

銀皮症はどのように治療すれば良いのでしょうか。

実は銀皮症に対する有効な治療法はありません。

銀皮症は一度発症してしまうと、治す事は困難です。そのため生じさせない「予防」が何よりも重要になります。

予防というのは、具体的に言えば「銀を摂取しない事」に尽きます。

今の世の中では、銀皮症のリスクが十分知られるようになったため、お薬や体内に使う医療器具に、体内に吸収されるほどの銀を使っているものはほとんどありません。

そのため普通に生活をしている分には銀皮症になってしまう危険性はほぼ皆無と言っても良いでしょう。

万が一銀皮症を発症してしまった場合、「日光になるべく当たらない」事も治療的観点から見れば重要です。

銀皮症は日光暴露部に生じやすく、これは言い換えれば「日光を浴びると悪化しやすい」という事でもあります。なるべく皮膚の変色を悪化させないため、日光にはなるべく当たらないようにしましょう。

また少数の報告ですが、レーザー治療が銀皮症に効果を示したという報告もあります。

【銀皮症の治療法】

・生じてしまった銀皮症を治すのは難しいため、予防が何よりも大切
・銀を含んでいるものを極力摂取しない事
・万が一発症してしまったら、なるべく日光を浴びるのを避ける事
・レーザー治療が有効であったという少数の報告がある

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