首にできる小さなできもの、「アクロコルドン」ってどんな病気?

アクロコルドン(Achrochordon)は、主に中高年の女性の首などに生じる小さなできものです。

悪性のできものではなく、加齢によって生じる皮膚の老化現象の1つになります。そのため特に気にならないのであれば治療の必要はなく、そのまま放置してしまって問題ありません。

しかし衣服の着脱の際などにアクロコルドンがひっかかる事もあり、このように生活への支障を認める場合はアクロコルドンを除去するための治療が行われる事もあります。

ここではアクロコルドンという疾患について、その原因や症状、治療法などを詳しく説明させて頂きます。

1.アクロコルドンとは

まずはアクロコルドンという疾患について、その全体像を簡単にお話します。

アクロコルドンは皮膚の腫瘍の一種です。

「腫瘍」というと何だか怖く感じられるかもしれませんが、腫瘍というのはいわゆる「できもの」の事です。

腫瘍には良性腫瘍と悪性腫瘍があります。

良性腫瘍は良性のできもので、身体に何か害をきたす事はありません。

一方で腫瘍の中でも身体に害を来たすものは「悪性腫瘍」と呼ばれ、ガンなどもここに含まれます。

このうち、アクロコルドンは特に身体に害を来たさない「良性腫瘍」になります。そのため見た目的な問題はあるものの、腫瘍がある事で何か身体に害が生じる事はありません。

アクロコルドンは中高年の女性に多く、更に太っている方に生じやすい事が知られています。この年代の女性の方の首元を見ると、数mm小さなできものが認められる事は珍しい事ではありません。

アクロコルドンは皮膚の老化によって発症すると考えられています。そのため、摩擦や刺激などのダメージを繰り返し受けやすい部位に生じやすく、具体的には首や腋窩(わきのした)がなど好発部位となります。

アクロコルドンは主に膠原繊維から成っています。膠原繊維は正常皮膚にも存在する結合組織の1つで、主に細胞の強度を保つ役割を持っています。

皮膚が刺激を繰り返し受け続ける事で、膠原繊維が過剰に増殖してしまったのがアクロコルドンだという事ができます。

ちなみにアクロコルドンは数mmほどの小さな腫瘍ですが、より大きくなると、

  • スキンタッグ(skin tag)
  • 有茎性線維腫

と呼ばれるようになります。これらはアクロコルドンと同じ原因で発症している皮膚疾患で、大きさが異なるとこのように病名も変わっていきます。

アクロコルドンは特に悪さをする腫瘍ではありませんが、皮膚が擦れる場所に出来やすいため、しばしば衣服を着脱する際にひっかかってしまう事があります。これが気になってしまう方は治療する事があります。

治療法としては、

  • 液体窒素
  • 炭酸ガスレーザー
  • 切除

などが行われます。

2.アクロコルドンの原因

アクロコルドンはどのような原因で生じるのでしょうか。

アクロコルドンは、一見すると「イボ(疣贅)」のように見えますが正確には疣贅ではありません。一般的に疣贅は皮膚細胞にウイルスが感染する事で生じますが、アクロコルドンは感染性に生じるものではないからです。

アクロコルドンは良性腫瘍(身体に悪さをしないできもの)になり、その原因は皮膚の加齢・老化だと考えられています。

特に刺激や摩擦を受けやすい部位に生じますが、これは刺激・摩擦を頻回に受けると、その分皮膚が早く老化してしまうためです。

またアクロコルドンの構成成分は、コラーゲンなどに代表される「膠原繊維(こうげんせんい)」になります。膠原繊維は、正常の皮膚にも存在している物質で、細胞の力学的な強度を保つはたらきがあります。皮膚細胞が皮膚細胞の形を保てたり、多少のダメージを受けても破壊されないのは、膠原繊維が強度を保っているおかげなのです。

この膠原繊維が表皮で増殖してしまうと、アクロコルドンとなります。

つまりアクロコルドンは、皮膚が繰り返し刺激された結果、その部位の皮膚の老化が早まり、膠原繊維が過剰に増殖してしまった結果、生じてしまうのです。

【アクロコルドンが生じる原因】

・刺激・摩擦によって皮膚が老化する事で生じる
・膠原繊維が主成分で、上記刺激によって膠原繊維が過剰に増殖する事で生じる

3.アクロコルドンの症状

アクロコルドンではどのような症状が認められるのでしょうか。

アクロコルドンは良性の腫瘍ですので、身体に害を来たすような症状は何も生じません。

主に中年以降の女性に生じ、刺激・摩擦を受けやすい部位に生じるため、

  • 腋窩(わきのした)
  • 鼠経(また)

などに生じやすい傾向があります。中でも多いのは「首」です。

また痩せている方よりも、太っている方の方が出来やすい事が知られています。

多くは数mm程度の半球型の腫瘍で、色も正常の皮膚色からやや褐色調になります。

特に痛みやかゆみなどを生じる事はありませんが、皮膚の一部が多少盛り上がっているため衣服を着脱する際にひっかかる事があり、これを不快に感じる方もいらっしゃいます。

【アクロコルドンの症状】

・数mmの半球状の腫瘍である
・中年以降の女性・肥満者で生じやすい
・身体に害を来たすような症状は何も生じない
・衣服の着脱でひっかかる事があり、これを不快に感じる方もいる

4.アクロコルドンの治療法

アクロコルドンは、治療する必要があるのでしょうか。またどのように治療すれば良いのでしょうか。

まず、アクロコルドンは良性腫瘍で老化現象の一種だと考えられており、何も悪さをするものではありません。

そのためアクロコルドンを認めても、何も困っていないのであればそのまま様子をみて構いません。アクロコルドンは刺激・摩擦が加わり続けると徐々に大きくなっていく事がありますが、仮に大きくなったとしても同じく悪さはしません。

しかしあまりに大きくなってしまったり、衣服の着脱で引っかかってしまうようであれば治療をする事もあります。

治療法はいくつかありますが、もっとも簡単なのが「切除」です。

これは文字通り、アクロコルドンを切ってしまうという事です。完全に半球状だと切除は難しいのですが、有茎性であれば切ってしまうのも手です。

小さなできものですので、通常は麻酔をせずに切ってしまいます。麻酔をする際に針を刺しますが、その痛みと切ってしまう痛みが大差ないためです。

「切る」という事に抵抗がある方は、液体窒素による凍結療法や炭酸ガスレーザーで治療する事も出来ます。

液体窒素は-196℃という極めて低温な液体であるため、これを病変部にスプレー噴射したり、綿球に液体窒素を付けて病変部にあてたりする事でアクロコルドンを構成している膠原繊維を凍結させ、壊死させる事が出来ます。

液体窒素による凍結療法は通常、1~2週間間隔で行われます。1~2回で治る事が多く、治療後にポロっとアクロコルドンが取れます。しかし人によっては数回の治療が必要になる事もあります。

液体窒素による凍結療法はアクロコルドンを「凍らせて殺してしまう」という治療のため、液体窒素を当てる時に多少の痛みを伴う可能性があります。またアクロコルドン周辺の皮膚にもダメージを与えてしまい、皮膚の色素沈着などを引き起こしてしまうリスクがあります。

あるいは炭酸ガスレーザーを用いる方法もあります。炭酸ガスレーザーは、照射したレーザー光の光エネルギーが水に吸収される事で熱変換され、その部位の細胞を破壊します。

【アクロコルドンの治療法】

・悪性の疾患ではないため、気にならなければ放置していても問題ない
・有茎性のアクロコルドンはハサミで切除する事もある
・液体窒素による凍結療法で、アクロコルドンを凍らせて殺してしまう治療法もある
・炭酸ガスレーザーでアクロコルドンを破壊してしまうという治療法もある

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